日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20220529 ドイツ経済ボディスキャン

ドイツ連銀(Bundesbank)が、ドイツの代表的経済指標を「彼らが見ている形の」グラフで随時アップデートしてくれていますので、大変便利です。

現在の断面を全身をボディスキャンするようなイメージで確認しておきます。ドイツ連銀が個別に解説してくれているわけではないので、コメントは私独自のものになりますのでご了承ください。

https://www.bundesbank.de/resource/blob/767314/ee148866c250a75863d1979f798466cc/mL/001-grafiksammlung-pdf-data.pdf

 

①実質GDP(2015=100としたインデックス)

 ~コロナ直後の大きな落ち込みから急速に回復しているものの、
  昨冬以降、オミクロン、ウクライナ危機、中国ゼロコロナのせいでやや失速
  インフレで食われていることもあり、コロナ前の水準を回復し切れていない

  

 

②製造業受注(上)/建設受注(下)
 ~ともにまずまず堅調

  特に製造業受注残は月商の8か月分と過去最高の積み上がり

  

 

③鉱工業生産

 ~コロナ直後の大きな落ち込みから急速に回復した後、

  サプライチェーン障害、原材料不足等で受注比ずっと弱目
  ⇒受注残積み上がりにつながっている

  

 

④実質小売売上
 ~一部リベンジも出て堅調だったが、
  ウクライナ危機とインフレで最近伸び悩み

  

 

⑤インフレ(青:輸入物価、橙:生産者物価、黒、消費者物価)

 ~川上から強烈な物価上昇圧力、ピークアウトの感触まだなし

  


⑥就業者数(上)/失業者数(下)

 ~非常に堅調、人手不足気味、軟化の兆しなし

  

 

⑦労働コスト

 ~日本と異なり、インフレよりやや上(2~3%)で着実に上昇

  

 

⑧貿易収支(橙)/経常収支(緑)

 ~コロナ後やや軟化も、両方で比較的大きな黒字を維持

  

 

⑨銀行貸出 企業向け(緑)/家計向け(赤)

 ~ともに安定的な伸び(特に住宅ローン)

  

 

⑩財政 債務比率(黒)/財政収支(赤)

 ~コロナの大盤振る舞い後でも債務GDP比70%と超健全

  最近はインフレのおかげで税収激増

  

 

なお、マーケットプライスを含むより広い指標を、より長期かつリアルタイムで分析なさりたい方は、こちら(Tradingeconomics、英語、ドイツ以外のどの国でも可能)をご活用ください。

Germany Indicators (tradingeconomics.com)

例:CPI~5月も続伸が予想されています