フランスのインフレ(10月HICP)は前年同月比+7.1%と、ドイツの+11.6%、ユーロ圏平均の+10.6%と比べて極めて優秀です。足元ユーロ圏で最も低い値となっています。
ドイツとの国境近くにあるフランスの街シュトラスブールには、ドイツ人の買い物が殺到しているそうです。スーパーでの価格は、普通はドイツの方が15%くらい安いのですが、今やフランスの方が2割くらい安いことが多いためです。
★その原因は明確で、フランス政府が早く(2021年10月)からエネルギー価格(ガスと電気)に上限価格を導入したためです。
その結果、例えば足元の電力キロワット時あたりの平均価格は、ドイツの56.3セント、イギリスの46.8セント、スペインの38.3セントに対し、フランスではわずか21.3セントとなっています。
ドイツも来年初から同様の手法でエネルギー価格に上限を設定しようとしていますが、
①財政負担が大きいこと、②低所所得者層に狙いを定めた支援にならないこと、
が問題視されています。
独仏両国のHICPに占める住宅系電気・ガスのウェートはそれぞれ7.98%/6.34%で、フランスの方がやや低いということも幸いしています。
ちなみにユーロ圏HICPに占めるドイツとフランスのウェートはそれぞれ28.3%/20.5%で、独仏両国でユーロ圏インフレの約半分を説明できますので、個別のモニタリングには大いに意味があります。
Selected euro area statistics and national breakdowns (europa.eu)