つい先ほどドイツ連邦雇用庁から11月分のドイツ雇用統計が発表されました。
市場が最も注目する季節調整後失業者数前月比増減は、市場予想比気持ち弱目の内容です(+17千人)。
但し、失業者数についてはウクライナ難民カウント(約18万人)の特殊要因が大きく左右するため、慎重な分析が必要です。
6月以降の失業率上昇のうちの大半は、ウクライナ難民受け入れ分を6月から失業者にカウントし始めたという純粋にテクニカルな理由によるものです。
しかし、ドイツ連邦雇用庁は今回初めて「ウクライナ難民以外の要因でも失業者が増加している」と言及しています。
細かい数字は開示されていないので乱暴な推計しかできませんが、2月末から11月末にかけてのウクライナ国籍の失業者数は18万人増加したとありますので、2月から11月にかけての失業者数増加分22万人のうち、4万人くらいが本当の雇用軟化分で、それが今月あたりから目立って出始めたということではないかと思います。
●雇用の先行指標である求人数(残高:上線)はコロナ前の水準を上回る歴史的高水準が維持されているものの、ここ数か月はさすがに減少が続いています。ドイツ連邦雇用庁も「労働需要が目に見えて軟化している(spürbar abgeschwächt)」と表現しています。
求人の新規流入(下線)がは今月少し持ち直しましたが、トレンドとしてどちらかというと下向きになっている(企業の採用スタンス慎重化を示唆)ので引き続き要注意です。
●同じく雇用の先行指標であるifo雇用バロメータは、最近きつめの軟化が続いており、採用と解雇がバランスするくらいの水準まで落ちてきています。
https://www.ifo.de/fakten/2022-10-27/ifo-beschaeftigungsbarometer-gesunken-oktober-2022
●操短(勤務時間と給与を減らして雇用を維持するしくみ~給与は公的支援で一部補充される)については、コロナによる急増分をほぼ解消したところなのですが、申請件数が8月44千人、9月57千人から、10月は98千人、11月82千人(24日までの集計なので恐らく10月と同じくらいになる)とわずかながら増加気味に推移しています。今後景気悪化で労働投入が不要になってくると、こちらが真っ先に急増するので注視しています。
<データソース>
Germany Indicators (tradingeconomics.com)