つい先ほどドイツ連邦雇用庁から9月分のドイツ雇用統計が発表されました。
「いよいよマイナス成長不可避の状況でドイツの雇用も緩み始めているに違いない」と思われているかも知れませんが、担当当局の総括評価は「厳しい環境(戦争、インフレ、エネルギー不足⇨企業悲観化)にもかかわらず全体的に堅調」となっています。人手不足があまりにも深刻なので、安易に人減らしになど動けないという状況です。
6月以降、失業者数と失業率がやや上昇しているのは、ウクライナ難民受け入れ分を6月から失業者にもカウントし始めたという純粋にテクニカルな理由によるものであり、ドイツの景気が急減速してドイツ人の失業者が急増しているというわけではありません。
以下ドイツ連邦雇用庁からのプレスリリースのエッセンスをご紹介します。
●雇用者数全体(上)、社会保険加入義務のある雇用者数(下)の両方とも、しっかりとした増加基調が続いています(数字は8月分で1か月遅れですが、失業率急上昇は統計を変更した6月から始まっています)。失業者数の増加が雇用者数の減少によるものでないことが確認できます。
●雇用の先行指標である求人数(残高:上線)は流石にやや軟化してきましたが、コロナ前の水準を上回る状態は維持されており、新規流入(下線)も底堅く推移しています(残高減は主に就職成立によるもの)。
●同じく雇用の先行指標であるifo雇用バロメータでも、最近やや軟化しているものの、比較的高水準がまだ維持されています。
https://www.ifo.de/fakten/2022-09-28/ifo-beschaeftigungsbarometer-gesunken-september-2022
●操短(勤務時間と給与を減らして雇用を維持するしくみ~給与は公的支援で一部補充される)の減少も続いています。景気悪化で労働投入が不要になっているのであれば、こちらが真っ先に急増するはずですが、実際にはその真逆の状況が続いているということです。