つい先ほどドイツ連邦雇用庁から12月分のドイツ雇用統計が発表されました。
市場が最も注目する季節調整後失業者数前月比増減は、▲13千人と市場予想(+15千人)比強目の内容です。
昨年6月からウクライナ難民を失業者カウント対象としたため少し押し上げられていた失業率も、上昇が止まりました。
就業者数(緑、1か月遅れなので11月分)は過去最高を記録しており、これまでのGDP(橙)の予想外の健闘(2022Q3前期比+0.4%)の一因となっています。
●雇用の先行指標である求人数(残高:上線)はコロナ前の水準を上回る歴史的高水準が維持されているものの、ここ数か月はさすがに減少が続いています。
求人の新規流入(下線)は2か月連続で少し持ち直し、横ばいトレンドが続いています。
●雇用の先行指標であるifo雇用バロメータは、昨夏以降の軟化がいったん止まり、採用と解雇がバランスするくらいの水準(ちょうどコロナ前くらい)での横ばいが続いています(上記求人新規流入と整合的)。
●操短(勤務時間と給与を減らして雇用を維持するしくみ~給与は公的支援で一部補充される)については、コロナによる急増分をほぼ解消したところなのですが、8月44千人、9月57千人、10月98千人、11月101千人と最近またジワジワ増えてきていました。
12月は91千人とわずかながら反落していますが、景気悪化で労働投入が不要になってくると、こちらが真っ先に急増する(先行指標となる)ので引き続き注視しています。
<日本語報道例>~米雇用統計と違っていつも扱いは非常に小さいのですが、世界第4位の経済大国の半分(個人消費)を支える大事な部分に関する速報性が高いハードデータであることには変わりありません。
独失業者数、12月は予想外に減少 ウクライナ戦争の影響限定的 | Reuters
ドイツの雇用情勢全般についてはYouTubeでも解説しました。よろしければ併せてご覧ください。
<データソース>
Germany Indicators (tradingeconomics.com)
Pulsmesser Wirtschaft - Dashboard Deutschland (dashboard-deutschland.de)
ifo Beschäftigungsbarometer minimal gesunken (Dezember 2022) | Fakten | ifo Institut