日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

労働組合

20240416 最近の主なドイツ企業人員削減発表一覧

人口動態要因(団塊世代の大量退職>移民)に基づく構造的人手不足は緩和していないので、失業急増は回避されているが、経営環境の変化と共にオーバーキャパになっている領域(特に自動車関連)では思い切った人員削減が進められている。 以下は今年に入って…

20240327 ドイツ鉄道労使交渉決着についてのドイツメディアの報道ぶり

これまで5か月間にわたる交渉と計6回のストライキを経て、昨日3月26日、ドイツ鉄道とGDL(運転手組合)の労使交渉がようやく決着し、イースター休暇中のストライキ回避が確実になりました。GDLは大幅な賃上げ(免税一時金を含む)と週35時間労働に向けての段…

20240229 ドイツの気になるデータ5選(賃金、小売売上、インフルなど)

①賃金~2023年通年ベースでは、インフレ+5.9%に対し、名目賃金+6.0%で実質賃金が辛うじてプラス転換(+0.1%)。2023年Q4では各+3.5%/+5.4%/+1.8%と実質ベースでしっかりプラス転換。 労組はコロナ後数年間続いた実質賃金のマイナスを取り返すべく、今…

20240208 ドイツの労使交渉とストライキ:旅行や出張の計画に影響

最近ドイツでは鉄道(遠距離/近距離)と空港でのストライキが繰り返されており、旅行や出張の計画がうかつに立てられない状況が続いています。 下表は今後予定されている労使交渉の一覧表ですが、現時点では以下黄色網掛け部分にほとんど歩み寄りや妥結に向…

20240202 ドイツの気になる世論調査結果5選(ショルツ政権支持率、週休3日制など)

①政党別支持率~AfD(青線、極右)の支持率が2割以下まで急低下。多数の大規模反極右デモや主要政治家による「政府への不満を極右への投票で表現するのは大変危険なので絶対にやめて欲しい」といった警告などの効果が少し出てきたとの評価。 現時点で総選挙…

20240131 ドイツ雇用統計徹底チェック

先ほどドイツの1月雇用統計が発表され、季調済失業者数は前月比▲2千人と、市場予想(+10千人強)よりややや強い内容となっていました。 ちなみに米雇用統計からの連想で、市場の一部ではこちらがヘッドラインであるかのように勘違いされていますが、ドイツで…

20240124 ドイツ鉄道ストについてのドイツメディアの報道ぶり

ドイツ機関車運転士組合(GDL)が、全独のドイツ鉄道で6日間のストライキに突入し、大規模な混乱と経済損失が発生していることについて、ドイツメディアの報道ぶりは以下の通りです。 交渉の最大の争点は、労働時間の短縮(週38⇒35時間)。DGLは賃金目減りな…

20240123 ドイツ賃金交渉一覧表アップデート

<現在交渉中/今後交渉開始予定の賃金交渉一覧>足元はドイツ鉄道を6日麻痺させようとしているGDL(組合員はごく少数)に注目が集まりやすいですが、今年通年では夏のIGメタル/年末のヴェルディ(ドイツ2大労組)が重要です。 <2022年以降の主な妥結結果一…

20240110 鉄道(DB)ストに対するドイツメディアの報道ぶり

鉄道運転手労組DGLがドイツ鉄道(DB)のストライキ(1/10:2時~1/12:18時)に突入し、通常の2割程度の運転になっています。本件についてのドイツメディアの報道ぶりは以下の通りです。 ドイツ鉄道は、その気になれば労組のストライキの軍資金がなくなるまで…

20240108 ドイツ農民の抗議活動に関するドイツメディアの報道ぶり

ドイツ政府が財政緊縮の必要に迫られて導入を計画しようとしている農業用ディーゼル補助金の段階的廃止に対して、全国の農家が、トラクターなどによるアウトバーン入口の閉鎖や大規模抗議集会などを始めようとしています。これに対するドイツメディアの報道…

20240103 ドイツ12月雇用統計徹底チェック

tradingeconomics.com 先ほどドイツの12月雇用統計が発表され、季調済失業者数は前月比+5千人と、市場予想(20千人前後)よりややや強い内容となっていました。ちなみに米雇用統計からの連想で、市場の一部ではこちらがヘッドラインであるかのように勘違いさ…

20231229 ドイツ賃金交渉一覧

●現在交渉中/来年以降交渉開始の主なものを一覧表にしたのがこちらです。 (対象人数は少ないですが)鉄道運転士の労使交渉は、ストを繰り返しつつ前進感なく難航し続けており、年明けの鉄道麻痺リスクが心配されています。 来年注目すべき大口ラウンドは、9…

20231102 ドイツ雇用、ジワリ軟化

先ほどドイツ連邦雇用庁から10月のドイツ雇用統計が発表されましたので簡潔にポイントを整理しておきます。 ●市場が最も注目する季節調整後失業者数前月比増減は、+30千人と市場予想(+15千人)よりやや弱めの内容でした。 ●景気低迷長期化を反映して、失業…

20231017 ドイツの気になるデータ10選

①ドイツ連銀 週次家経済活動指数(WAI)~景気モメンタムはほぼ横ばい https://www.bundesbank.de/de/statistiken/konjunktur-und-preise/woechentlicher-aktivitaetsindex ②インフレ~川下のCPI(黒)以外の川上(輸入/生産者/卸売)物価は十分下がっている…

20231007 ドイツでの週休3日制の広がり、要警戒

note.com <Japanese> 8月の毎月勤労統計によると、日本の名目賃金(現金給与総額、残業代やボーナスまで含む)は前年同月比+1.1%と弱含みで推移しており、インフレを差し引いた実質賃金は▲2.5%とまだマイナスです。ドイツでも高いインフレのせいで実質賃金のマイナス</japanese>…

20231002 ドイツ雇用は引き続き小じっかり

先週金曜にドイツ連邦雇用庁から9月のドイツ雇用統計が発表されていますので(著変なく小じっかりしているのでやや簡潔に)ポイントを整理しておきます。 ●市場が最も注目する季節調整後失業者数前月比増減は、10千人とほぼ市場予想(+15千人)沿った内容で…

20230902 ドイツはワーク・ライフ・バランスの世界チャンピオン

note.com <Japanese> あるドイツ人エコノミストが「ドイツはワーク・ライフ・バランスの世界チャンピオン(Weltmeister)だ」と(やや自虐的に)おっしゃっていたので、面白いなと思ってちょっと調べてみました。ドイツの一人当たりGDP(IMFデータ)は、足元の為替レー</japanese>…

20230829 ドイツ鉄道賃金交渉、仲裁受入で決着

www.deutschebahn.com ドイツ鉄道の労働組合(EVG、対象18万人)は、ドイツ鉄道との賃金団体交渉における仲裁人の決定を受け入れることを決定しました。 労働協約の主なポイントは次のとおりです。 2023年10月:2,850ユーロのインフレ補償一時金支払い 2023…

20230727 ドイツ賃金交渉アップデート(ドイツ鉄道での仲裁前進)

今年何度も大規模ストが繰り返され、難航してきたドイツ鉄道労使交渉が、仲裁裁定により妥結に向かう可能性が高まりましたので速報します。 【労組(EVG)の当初要求】 +12%(但し最低月650ユーロ)の賃上げ。 協約期間12カ月。 【今回の仲裁提案~組合員投…

20230621 ifoとIMKも今年マイナス成長予想

本日また2件(ifoとIMKから)ドイツマイナス成長予想が出ました(上表緑枠)ので、これで今月発表された9つの予測すべてがマイナスということになりました。 ①ifo研 ドイツ経済の景気後退からの脱却はゆっくりとしか進んでいない。 就業者数の増加は、2022年…

20230602 再び高まるドイツ鉄道ストライキ・リスク

ドイツ鉄道と鉄道労組(EVG)の賃上げ交渉が完全に行き詰まっており、大規模なストライキが再び実施される可能性が高まっています。現状を総括すると以下の通りです。 【追記】本日その後、少人数グループで粘り強く交渉しようか、という感じで双方がトーン…

20230528 ドイツで労組新規加入が急増中

ドイツ3大全国紙の1角であるヴェルト紙が実施した、ドイツ労働組合総連合(DGB)傘下の8労働組合を対象としたアンケート調査結果によると、スト頻発で若干一般市民から顰蹙を買いつつも、賃上げなどの処遇改善で頼りになる労働組合への新規加入が今年に入っ…