ドイツ政府が財政緊縮の必要に迫られて導入を計画しようとしている農業用ディーゼル補助金の段階的廃止に対して、全国の農家が、トラクターなどによるアウトバーン入口の閉鎖や大規模抗議集会などを始めようとしています。これに対するドイツメディアの報道ぶりは以下の通りです。
- 道路封鎖、車両パレード、大規模デモなどにより、今週月曜日から、ドイツの農民たちが一週間、ドイツを試練にさらそうとしている。
- 休暇中のハーベック経済相に対する脅迫事件（搭乗中のフェリーに大挙して殺到しようとした）は環境過激派の活動（絵画や歴史的建造物を汚すなど）同様、一線を超えている。
- 農民協会はこういった過激な抗議活動から距離を置いているが、抑制しようともしていない。農民の不満蓄積の責任は協会側にもあるはずだ。
- これらの抗議活動は極右勢力に利用され、煽られている部分がある。ネオナチや帝国市民などが便乗して問題行動を起こす恐れもある。
- 道路封鎖で何十万人もの通勤者が迷惑を被ることになりそうだが、極右が便乗参加するようなら、農民に対する国民の理解、受容も吹き飛ぶだろう。
- ドイツは転換点に達している。お互いの意見に耳を傾け、暴力を使わずに公正な解決策を探ろうとする姿勢が失われ、ますます多くのグループが他人の生活を麻痺させる手段を安易に選ぶようになっている。
- もちろん責任の一端は政府にある。財政に対する違憲判決で自分たちだけ急に負担を増やされれば、誰でも抵抗したくなる。
- 農家たちはもはや農業用ディーゼル補助金の復元を超えて、政権交代に狙いを定めているのかも知れない。
- 農民たちの行き過ぎた抗議活動は、極右（AfD）の手法がいかに社会の真ん中にまで浸透しつつあるかを示している。
- 2016年の調査によると、ドイツ人はEU内でポピュリスト政治を最も受け入れにくい国民だった。しかし今や、フランス、イギリス、アメリカに追いつきつつあるようだ。
なお、ドイツ市民のほぼ7割が農民に同情的/理解を示している模様
示し合わせたわけではなさそうですが、鉄道運転士の労組GDLが経営側のオファーを拒否し、1/10-12の間ドイツ鉄道のストライキも加わります。ドイツ全土での大混乱を覚悟すべき状況となっています。
