<全体>
https://www.oecd.org/economic-outlook/may-2024/
以下がこちらのドイツ部分のエッセンス:
● ①インフレ低下+賃上げ⇒実質賃金上昇⇒個人消費回復
②世界経済回復⇒輸出(外需寄与)増加
③(うまくやれば)投資も金利低下と共に回復
という典型的な景気回復ストーリー(特段新味がある分析ではない)。
●昨秋の予算違憲判決により、財政スタンスは今年・来年の2年間でGDP比1.6%程度引き締められる見通し。
●内外他機関比では、来年のインフレを高めに予測(HICPベース)。熟練労働力不足を背景とする高めの賃上げを反映して、コアインフレ率が高どまるため。
<以下具体的政策提言類>
●労働力不足(ドイツ政府は最大の難敵と位置づけ)は、女性/シニア/低所得者の労働意欲を強化するとともに、教育/職業訓練/リカレント教育の改善で対処すべき。
●税負担を労働から資本(フロー/ストック)にシフトすることは、労働供給のインセンティブ改善に役立つ。
●事業用資産に対する寛大な相続税免除や既存建物への投資に対する資本所得税免除は削減してよい。
●夫婦の所得税と健康保険料の負担を軽減すべき(現状では第二所得者の限界所得税率が高すぎる)。これは働く女性の半数以上がスキル以下のパートタイム仕事に甘んじる一因となっている。
●早期退職のインセンティブを削減すれば、シニア層が働くインセンティブが向上し、年金制度の安定化など財政負担軽減につながる。
●再エネ供給拡大/エネルギー安保向上のためには、まず地方(現場)レベルでの計画承認手続時間の短縮が重要。
●デジタル化加速のためには、思い切った投資と同時に、共通IT標準の設定や政府レベル間での行政手続き調和の促進などが重要。
●政府調達においては、一元的かつ透明性のある電子調達プラットフォーム整備や、適切な財政インセンティブ導入などを通じて、投資効率を高め、財政の持続可能性を改善すべき。
<主要計数総括表>
<OECDレポート内の有益そうなご参考データ集>
●米国は長短とも実質金利高い。
●政策金利予測軌道~ECBは累計1.5%は下げる/日銀は年後半1度利上げ。
●日本とドイツは環境関連技術の特許取得に熱心。
●独米は労働力としての移民活用に熱心ながら、上には上。日本は消極的。
<日独経済日記>