本日ドイツ連銀月報がリリースされましたので、そのエッセンスを以下ご紹介します。
- 高インフレが引き続き個人消費(財・サービスとも)の逆風。多少の賃上げでは実質所得の目減りは解消しない。
- EV関連補助金縮小も自動車販売を押し下げ。車はリース用投資需要も減退。
- 一方、供給ボトルネックの緩和、高水準の受注残、エネルギー価格低下が製造業を、穏やかな天候が建設業をサポート。
- Q1GDPがプラスゼロと予想以上に低調だったのは、3月の製造業受注・生産の大幅な落ち込みによるもの。病欠急増も一因。安定的回復モメンタムはまだ確認できていない。
- Q2GDP(発表は7月末)はマイルドなプラスになりそうな感触。高水準の受注残と輸出の戻りなどがサポート。賃上げで個人消費下押し圧力も軽減。但し建設は暖冬効果剥落で苦しい。
- 失業率若干上昇でやや軟化も、労働市場は引き続き堅調。先行指標もまだ良好。
- 賃金はQ1前年比+3.9%(Q4+2.0%)。その多くはインフレ一時金によるもの。
- 賃上げはインフレ、人手不足、業績好調を背景に強め(実質年率で公務員+6.3%、郵便+6.1%)。インフレ一時金は税制優遇限度枠目いっぱいまで使われている。
- 今後も高めの妥結が予想され、労働コスト増がさらなるインフレにつながる二次的波及は避けられない。
- 足元のインフレ低下は殆どエネルギーによるもの(ベーシス効果剥落、CPIウェート減少、政策対応)。残り部分はしつこく高水準。
●ECB金融政策:市場はあと0.5%(0.25%×2回)の利上げを織り込み(銀行不安勃発前はさらに0.5%上と思われていた)。
●預金金利:ドイツの銀行の預金金利:新規取引には2%強を提示しているので(下)、定期預金全体の平均コストも上がり始めている(上)。
●銀行貸出:貸出は法人向け(上)個人向け(下)とも伸び率は急減速しているが、まだ比較的高水準のプラス。
●法人向け貸出金利:1年以内で5%強、5年超で4%強(1百万ユーロ以上の大口(水色)はそれよりやや低い)。
●個人向け貸出金利:5年超で8.4%(上)1~5年で6.4%(中)、10年超の住宅ローンは3.8%(下)。
<日本語報道例>
いつもこの程度しか報じないのは、大変もったいないことだと思っています。まあ、だからこそ毎回原本を読みに行く価値があるわけですが。