本日発表されたドイツ銀行協会の経済見通し(民間銀行のチーフエコノミストらの共同作業の結果)のエッセンスは以下の通りです。
- ドイツ経済は依然として顕著な低迷状態にあり、今年の実質成長率はマイナスゼロどまりを予想。
- これまでのドイツ経済低迷の主因だったエネルギー危機が完全に終了していることは朗報。来年は+1.2%と強めの成長が期待できる。
- 世界貿易は昨年わずかに縮小したが、今年は増加に転じる。そのデルタ(変化分)が小さくないため、相応にドイツ経済のサポートになるはず。
- 中国経済は想定以上に弱いが、米国経済は巨額の財政出動のお陰で、かなりの金融引き締めにもかかわらず好調を維持している。
- インフレ低下+賃上げに伴う購買力増加も景気回復の原動力になる。
- ECBは6月から利下げを開始し、年内2回追加(四半期毎)を予想。これが投資を後押しする。
- 但し、構造的人手不足を背景に、賃上げが高め(3%というよりは4%)に推移する可能性が高い。
- インフレ予想は今年+2.5%/来年+2.2%と高めながら、リスクは上振れ方向。
- ①経済政策に対する不透明感、②煩雑な許認可手続きや規制などの官僚主義、③人口動態に起因する人手不足、④重い税・社会保障負担、などの構造問題もドイツ経済の足を引っ張っている。
- 短視眼的な財政出動ではなく、優先順位を適切に定めた上で必要な経済政策を着実に実施していくことが重要。
- 特に未来に向けた投資をうまく引き出さなければならない。
- 残念ながら、これまでのところ、この点で実質的な進歩はほとんど見られない。
<予測主要計数>
<日独経済日記>