IfW(キール研、ドイツ5大研の一角)から新たなドイツ経済予測(上図の通り今年ははずか+0.1%成長、12月予想比▲0.8%下方修正)が発表されていますので、以下、そのエッセンスをご紹介します。
- 各種構造問題やECB利上げによるブレーキのため、ドイツ経済の低迷長期化。
- 実質可処分所得の増加(賃上げ+インフレ低下)に伴う個人消費の回復と海外ビジネスの緩やかな増加の2つが今後の景気回復の原動力として期待される。
- しかしこれらの原動力は、以前の予想よりも弱く、かつその起動が遅れている。
- 2025年のGDPは、コロナ(6年)前の水準を2%上回るにとどまる。
- 経済低迷にもかかわらず労働市場は引き続き堅調。失業率は2024年5.8%、2025年に5.6%とほとんど上がらない。
- 今年の雇用者数は過去最高の4,610万人に達するが、その後人口動態の変化により減少に転じる。
- 財政赤字は減少傾向。対GDP比で2023年の2.1%から2025年には0.8%に低下へ。
- 輸出は足元やや回復しているが、今年通年では大幅に減少する可能性あり。
- 紅海の物流停滞によるドイツ対外貿易への悪影響は限定的。
- 世界経済の回復には中国の構造問題が足かせとなっている。インドは好調だが、まだまだウェートとして小さい。
- 米大統領選は、世界とドイツの経済にとって大きな不確実性要因。貿易摩擦激化は大きな景気下振れリスク。
- その対策としては自由貿易協定拡大くらいしかなく、限定的。
●四半期GDP推移(前期比)~昨年末のマイナスのゲタが大きい上、Q1も前期比マイナスに終わる可能性が高いため、その後多少加速しても今年は通年ベースでは低成長にとどまる。
●アウトプットギャップ(橙)は当面埋まりそうにない(ディスインフレ圧力)。
●ユーロ圏の足を引っ張り、世界経済を大幅にアンダーパフォーム。
<内外主要機関のドイツ経済予測一覧>
<日独経済日記>