日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20240306 キール研最新経済予測のエッセンス

 

IfW(キール研、ドイツ5大研の一角)から新たなドイツ経済予測(上図の通り今年ははずか+0.1%成長、12月予想比▲0.8%下方修正)が発表されていますので、以下、そのエッセンスをご紹介します。

  • 各種構造問題やECB利上げによるブレーキのため、ドイツ経済の低迷長期化。
  • 実質可処分所得の増加(賃上げ+インフレ低下)に伴う個人消費の回復と海外ビジネスの緩やかな増加の2つが今後の景気回復の原動力として期待される。
  • しかしこれらの原動力は、以前の予想よりも弱く、かつその起動が遅れている
  • 2025年のGDPは、コロナ(6年)前の水準を2%上回るにとどまる。
  • 経済低迷にもかかわらず労働市場は引き続き堅調。失業率は2024年5.8%、2025年に5.6%とほとんど上がらない。
  • 今年の雇用者数は過去最高の4,610万人に達するが、その後人口動態の変化により減少に転じる。
  • 財政赤字は減少傾向。対GDP比で2023年の2.1%から2025年には0.8%に低下へ。
  • 輸出は足元やや回復しているが、今年通年では大幅に減少する可能性あり。
  • 紅海の物流停滞によるドイツ対外貿易への悪影響は限定的
  • 世界経済の回復には中国の構造問題が足かせとなっている。インドは好調だが、まだまだウェートとして小さい
  • 米大統領選は、世界とドイツの経済にとって大きな不確実性要因。貿易摩擦激化は大きな景気下振れリスク
  • その対策としては自由貿易協定拡大くらいしかなく、限定的。

●四半期GDP推移(前期比)~昨年末のマイナスのゲタが大きい上、Q1も前期比マイナスに終わる可能性が高いため、その後多少加速しても今年は通年ベースでは低成長にとどまる。

 

アウトプットギャップ(橙)は当面埋まりそうにない(ディスインフレ圧力)

 

●ユーロ圏の足を引っ張り、世界経済を大幅にアンダーパフォーム。

 

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