日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20230620 マイナス成長下の希望の星:ドイツ連銀GDPナウキャスト

6月に入ってから、7つの内外主要機関がドイツマクロ経済予測を発表してきましたが、ドイツ連銀(Buba)の今年▲0.3%予想を始めとして、全てが今年通年での実質マイナス成長予想となっていました。連日このように悲観的な予想が報道されているので、当然ながら、ドイツ経済界の雰囲気は悪化しています。

 

マイナス成長とはいっても、名目GDPは+5%前後(下表IMF予測では+4.8%)と高く、決して経済が縮小しているわけではありません。雇用も非常にタイトで、賃金は足元+5~6%くらいの勢いで増えています。

それでもドイツがマイナス成長になってしまうのは、ひとえに突出して高いインフレのせいです。高い名目成長が、それ以上に高いデフレータで食われてしまっているという状態です。

 

そんな悲観的雰囲気の中で、最近突出して明るい未来を示唆しているのが、ドイツ連銀の週次経済活動指数(WAI)です。

https://www.bundesbank.de/de/statistiken/konjunktur-und-preise/woechentlicher-aktivitaetsindex

 

WAIは毎週月曜夕刻に発表されている実験的GDPリアルタイムトラッカ-なのですが、このところ異常ともいえる急回復(上図右)を示しており、足元四半期GDP換算で、前期比+1.4%となっています。

 

もし仮にQ2実質GDPが前期比+1.4%で本当に着地したとすると、年後半が前期比ゼロ成長でも、通年+0.5%が確保できるという(机上の)計算になります。

 

なお、ウェートやデータの処理方法の詳細は不明ですが、WAIを構成するデータ群(随時入れ替え/調整されています)は以下の通りです。

電力消費量、トラック運送量、世界フライト数、グーグル検索数(失業、時短、政府支援)、21大ショッピング通りの人出、大気汚染、クレジットカード決済金額

 

ちなみにドイツQ2実質GDPは7月31日に発表予定で、市場予想は+0.3%あたりとなっています。

 

この前期比+0.3%ぺーズが年内ずっと続いても、確かに通年ではまだマイナス成長にとどまりますので、ここからプラ転するのは結構厳しそうだと言うことができます。


ドイツの潜在成長率は年0.8~0.9%とされていますので、四半期前期比+0.2~0.3%が自然体の実力です。最近は日本同様、比較的頻繁に前期比マイナスが出るようになってしまっています。