日独経済日記

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20231215 ドイツ連銀経済見通しのエッセンス

 

https://www.bundesbank.de/de/presse/pressenotizen/deutschland-prognose-der-bundesbank-sinkende-inflation-aber-noch-keine-entwarnung-920336

 

つい先ほど、ドイツ連銀(Bundesbank)から2026年までのドイツ経済見通しが発表されました。2026年までのマクロ計数を発表しているのは、これとIMFの世界経済見通し(10月)くらいだと思います。

現時点でドイツ経済に関して最も権威ある経済予測ですので、来年の予算や計画を策定する際のベース(マクロデータ)としてご活用いただければと思います。

以下、頭の片隅に置いておいて損のなさそうなポイントをご紹介します:

 

●インフレ(HICPベース)は2025年でも総合+2.5%/コア+2.6%と高止まり。サービス価格(右)が高止まり続ける。リスクはアップサイド(賃金)

 

 

●この点が他の経済研究所の予測との最大の違い。来年のGDPも弱め。

 

●一人当たり賃金(名目)は高水準の上昇が来年まで続き、2025年以降、インフレ目標2%と整合的な3%程度の巡航速度に落ち着く見込み。

            2023年 / 2024年 / 2025年 / 2026年

 協定上の賃金(青):    +4.0% / +5.0% / +3.0% / +3.1%

 実際の賃金(黒) : +5.9% / +5.2% / +3.6% / +3.5%

2023年の両者の乖離が大きいのは、最低賃金引き上げ、インフレ一時金、残業増などの影響。

 

 

今年10-12月期まで前期比マイナス成長、その後前期比+0.3%に向けて徐々に回復。原動力は世界経済/外需の回復と実質所得(賃金-インフレ)/個人消費の回復(下)。リスクはダウンサイド(財政緊縮、地政学的緊張の高まり、厳冬/ガス不足)

 

 

 

●予測の前提~エネルギー価格(左)と為替(右:EUR/USD=1.08)はほぼ横ばいを想定。金利は市場織り込みよりマイルドな低下しか見込まず(2024年3mEURIBOR平均3.6% vs 市場3%台前半)。

 

 

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