日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20230621 ifoとIMKも今年マイナス成長予想

本日また2件(ifoとIMKから)ドイツマイナス成長予想が出ました(上表緑枠)ので、これで今月発表された9つの予測すべてがマイナスということになりました。


①ifo研

  • ドイツ経済の景気後退からの脱却はゆっくりとしか進んでいない。
  • 就業者数の増加は、2022年約59万2,000人とハイペースだったが、2023年には37万7,000人、2024年には12万1,000人へと減速する(減るわけではない)。
  • 今年の財政はインフレ対策関連支出のおかげでまだ拡張的ながら、措置のほとんどが来年に期限切れとなるので、その後は緊縮的(景気抑制的)となる。
  • ECBは7月の理事会で25bp利上げした後、しばらくこの水準で据え置き、来年夏からゆるやかな利下げに転じる見込み。
  • 10年物独連邦債利回りは(現在の2.4%から)2.8%まで上昇し、その水準にとどまる。
  • 予測に対するリスクは、ウクライナ戦争とインフレの状況。

 

 

●ドイツの実質GDP軌道~Q2からわずかに前期比プラス

 

●ユーロ圏の実質GDP軌道~今年+0.6%、来年+1.3%

https://www.ifo.de/fakten/2023-06-21/ifo-konjunkturprognose-sommer-2023-inflation-flaut-langsam-ab-aber-konjunktur

 

②IMK~労働組合傘下:ハンス・ベクラー財団のマクロ経済・景気循環研究所

Hans-Böckler-Stiftung

 

  • マイナス成長の原因は、個人消費の低迷、政府消費の落ち込み、建設投資の大幅減少、貿易の低迷など。
  • ガス・電気価格のブレーキなどの政府支援策が奏功し、インフレは低下に向かう(今年のCPI予想5.3%は今月発表された9つの予測中最低)。
  • 2024年中にはECBのインフレ目標2%に大分近づく見込み。
  • 全体的に経済が軟調にもかかわらず、労働市場は引き続き堅調推移見込み。
  • 予測に対するリスクは、ウクライナ戦争、米中対立、エネルギー価格上昇、金利上昇。

一人当たり賃金予想は今年+3.6%、来年+3.9%と他機関(+5%程度)比低め。

Deutsche Wirtschaft erholt sich nur allmählich von der Winterrezession - Institut für Makroökonomie und Konjunkturforschung (IMK) in der Hans-Böckler-Stiftung