日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20230621 独中政府間協議についてのドイツメディアの報道ぶり

 

ベルリンで開催された独中政府間協議(2011年来7回目)についてのドイツメディアの報道ぶりは以下の通りです。

  • ドイツとヨーロッパは、結局中国との強力な通商関係を必要としている。中国も経済面でヨーロッパを必要としている。最大のリスクは協力の欠如だ。
  • ドイツはさまざまなレベルで中国との協力関係を強化し、一緒に世界的課題の解決に取り組みたいと考えている。
  • 基本的価値観の問題とはある程度切り離してでも、協力できるところは協力すべきである。
  • 主要なCO2排出国としてドイツも中国も、特に気候変動問題では特別な責任を負っている。
  • SPD(筆頭与党)としては、中国といたずらに対立することを避けるため、敬意を払いつつ慎重に対応したい。
  • ドイツが中国といつまでも仲良く付き合っていると、中国のプロパガンダにうまく利用されかねない。
  • EUが中国対応を厳しくしようとしている矢先にドイツが単独で中国と政府間協議を実施しており、非常にバツが悪い。
  • 本来は特に緊密な戦略的価値のあるパートナーのみを対象としている政府間協議を中国相手に継続すること自体が疑問だとする意見もある(日本とは今年始めたばかり)。
  • ドイツ政府は、今回の独中政府間協議を一回り小規模なものにとどめたいと考えていたが、中国からの圧力に屈して、従来通りの開催となった模様。
  • 中国は経済、ドイツは気候保護、ウクライナと、二国間関係に対する両国の期待は完全にすれ違っている
  • ドイツ政府は、ドイツ企業に中国の台湾侵攻リスクを警告し、米インテルに100億ユーロもの補助金を与えて半導体工場を誘致する一方で、中国コスコにハンブルク港を明け渡している。
  • 喫緊の課題なのに、ドイツ企業の対中依存度引き下げは全く進捗していない
  • ドイツ政府が対中戦略の策定にもたついていることを懸念する声も上がっている。
  • 今回の記者会見後、ジャーナリストの質問は許されなかった。ドイツでのメディア対応ルールまで中国に牛耳られているのは情けないことであり、中国に報道の自由の重要性を訴えたショルツ首相に対する前例のない皮肉である。
  • ショルツ首相がベルリンで中国政府首脳を迎え、経済大国中国との緊密な協力で合意したその当日、ドイツ憲法擁護局は、中国と接近することによるリスクと副作用について強く警告した。これは決して偶然ではない。
  • 世界はウクライナ戦争の終結を支援するために中国を必要としている。ロシアとウクライナが最終的に戦争終結交渉に入る際、中国が調停者として最も多くのことを提供できるはずと欧州は信じている。
  • 中国はロシアが西側諸国からの孤立に対処するのを助けることができるし、ウクライナの再建のために巨額の資金を提供することもできる。
  • ショルツ首相は中国政府に対し、ウクライナ戦争において侵略者ロシアに対する影響力を行使するよう強く訴えたが、中国の李首相は、複雑な世界情勢下で世界平和回復の努力を続ける、という回答に留まった。当面中国の和平への貢献は全く期待できそうにない