日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20230321 中ロ首脳会談、ドイツメディアの報道ぶり

 

現在訪露中の習近平が提示した和平提案に対して、プーチンがこれからどのように反応するかが注目されているところですが、現時点(3月21日ドイツ時間朝)でのドイツメディアの報道ぶりを以下ご紹介します。

  • ハーグ国際刑事裁判所から、ウクライナでの戦争犯罪に対する逮捕状が発行されたばかりのプーチンを、中国最高指導者が直ちに訪問し、世界に特別な関係をアピールしている。
  • プーチンとしては、当会談を西側に対する強さのしるしとしてアピールしているが、自分がどれだけ習近平に迎合させられているかを認識できていないようだ。
  • 両国共通の目標は、米国支配のない世界秩序の追求(「真の多国間主義」や「世界の多極化」と呼ぶ)。そのために両国間の「協力の包括的な戦略的パートナーシップ」に新たな弾みをつけようとしている。
  • 習近平にはプーチンとの友好関係を維持する十分な理由があるが、モスクワとキエフの間の中立的な仲介者として汗をかくメリットはあまりない

  • 心の兄弟ともいうべき二人には3つの共通点がある。公民権無視、②民主主義への恐怖、③西側に対する被害者意識。

  • 習近平は、西側の世界的地位を弱めるために、ウクライナ戦争の結果として米国、欧州、NATOの間に生じている不確実性を徹底的に利用しようとしている。

  • 中国の和平提案は(まだ詳細は判明していないが)、中国自身の利益になるものでしかありえないだろう。
  • 中国としては、ロシアが戦争に負けてもらっては困る。プーチンのシステムが失敗すれば、習主席がコミットしている権威主義的統治モデルにとっても大打撃となる。
  • 中国はロシアの弱い立場を巧みに利用し、新たな地政学的状況下での最大の経済的受益者となっている。ロシアから安価な石油とガスを手に入れて、自動車、半導体チップ、商用ドローンなど軍事転用可能なものをロシアに売りつけている。
  • 一方中国は、世界市場へのアクセスを危険に晒さないようにするため、武器と弾薬の供与は慎重に回避しており、今後もこの一線は超えないだろう。

  • ショルツ首相が最後にモスクワを訪れたのは 1 年以上前のことだが、下の写真の通り、二人の間には特大サイズのコピーが何枚も広げられる距離があった。一方習近平は冒頭の写真の通り、間にほとんど紙を置くスペースもないほどの距離でプーチンと話をしている。

 

 

<日本語報道例>

www.bloomberg.co.jp

www.sankei.com