今回のプーチンの核の脅しに対するドイツメディアの論調は以下の通りです。
- ロシアが劣勢の時に核の恐怖を時折ちらつかせるのはプーチンの常套手段(ひょっとすると現時点で最大の武器)で、戦況を左右することはない。西側諸国としては、この恐喝に屈したり、神経質なところを見せたりすることなく、冷静に対応すべき。
- 脅威の見せ方を目新しくすることにより、内部を引き締め、外部に恐怖を与えようとするのも、プーチンの常套手段。
- 実際ベラルーシに核兵器が配備されたからといって、脅威の全体像が変わるわけではない(但し、西側諸国の脅威の感覚は変わるかもしれない)。
- 脅威が現実味を帯びるとすれば、それはウクライナがクリミア奪回に動いた時だろう。
- ウクライナ戦争における核兵器使用を中国はレッドラインと明確に定義しており、これが抑止力になりうる。
- 西側諸国がキエフが要求しているすべての武器をウクライナに供給していないのも、プーチンに核使用を思いとどまらせるため。
- プーチンは、米国が長い間やってきたこと<NATOにおける「核共有」>を今自分もやっているだけだと思っている。米国の核兵器を米国管理下で西ドイツに配備することにより、ドイツは核保有国でなくても核抑止力を持つことができるようになった。確かにこれは、冷戦終結後、大きな議論を呼んできた。
- プーチンは、原則や条約を無視し、全ての責任を西側になすりつけようとしている。
- ベラルーシはもはやロシアと一体として見做さざるを得ない。ノルウェーからブルガリアまで、ヨーロッパに新たな鉄のカーテンが降り、これはウクライナの平和が実現した後も残るだろう。
- 1990年代にウクライナとベラルーシがロシアに配慮して核兵器を放棄したことは、安全保障上の模範的英断だった。しかしロシアは今少しずつ、当時達成されたすべてのことを覆そうとしている。
- プーチンがロシアを支配する限り、近隣諸国は安心して暮らせない。プーチンは新たな軍拡競争を煽り、最終的にはかつてソビエト連邦がそうであったように、ロシアを破滅させるだろう。
<日本語報道例>