今回の中露首脳会談に関するヨーロッパメディアの報道ぶりは以下の通りです(残念ながら、岸田首相のウクライナ訪問は、あまり大きく採り上げられていません)。
- 今回両国は、戦略的パートナーシップに関する合意などに署名。経済協力/中国への石油・ガス安定供給、軍事協力強化がそのメイン。
- 「真の多国間主義」という名目で、二人の独裁者/二つの専制国家が既存の国際秩序に挑戦しようとしている。
- この訪問は、プーチンを孤立させ、ロシアをならず者国家として描写しようとしてきた西側諸国への挑戦でもある。
- 両国のスタンスは一部の途上国からサポートされ続けるだろうが、西側諸国としては、粘り強く戦い続けるしかない。
- 中国のウクライナ和平計画(12項目)についても話し合われた模様だが、不当な占拠地域からのロシアの撤退には何ら触れられておらず、無価値。ウクライナへの接触/具体的提案もない。
- 西側諸国としては、中国を紛争における公平な調停者とは見なしようがない。
- 中国がロシアに武器まで供給するかどうかということが最大の問題(今のところ中国は自重している)。
- 経済制裁の効果で、ロシアは中国にエネルギーくらいしか売るものがない。
- 中国向けガス供給は、年300~500 億立方メートル@市場価格の3~5割。従来は市場価格で年1,500 億立方メートルをヨーロッパに届けていたので、ロシアとしては収入をほとんど維持できていない。
- 中国にとって、このパートナーシップは、安価なガス・軍事技術、反米仲間の確保程度でしかない。
- ロシアが事実上の中国の属国になってしまわないかが心配。
- 中国としてはプーチン政権崩壊を許すことはできず、ロシアで民主化プロセスが始まることはもっと許せない。国連安保理と核保有国クラブにおける唯一の同盟国を失い、国際的孤立が鮮明になってしまうので。