日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20220309 ウクライナ危機に対するドイツメディアの論調

全てを追い切れているわけではありませんが、ドイツにおけるウクライナ危機関連報道の中で、個人的に気になったものを以下書き留めておきます:

 

  • 民間人を人道回廊で逃がした後にはロシアからの攻撃が本格化する。長期化を避けたいロシアにその気が全くないので停戦は当面期待薄。
    キエフが市街戦で持ち堪えるか、キエフ自体は陥落してもウクライナ西部での抵抗とそれを支える西側の支援が続くので、戦闘はいずれにせよ長期化する。f:id:dateno:20220310000101p:plain

  • ポーランドのミグ29戦闘機をNATO/米国経由でウクライナに提供しようという話があったが、これは飛行禁止区域の導入同様に、プーチンから一方的にレッドゾーン(NATOによる宣戦布告)と見做されそうなので、とても現実的とは言えない(ドイツ政府としては明確に反対)。

  • 米国がロシアからの化石燃料すべての禁輸を即断したが、これは対露依存度が低いからできることであって、ドイツにはとても無理。石炭と原油は何とかなるかも知れないが(輸入に占めるロシアのシェアは各50%、33%)、天然ガス(同55%)が止まるとドイツは耐えられない。ドイツが輸入する天然ガスの50%は家庭用、30%が産業用原料、20%が発電用に使われているが、目先のインフレや品薄はともかく、次の冬の暖房がまともに機能せず、社会不安の時限爆弾となる。

  • 周囲の反対を押し切ってこれほどまでの対露依存(ノルトシュトリーム2の建設など)をナイーブに推し進めてきたシュレーダーメルケル、ショルツ歴代首相には重大な責任がある(ドイツ人として本当に恥ずかしい)。

  • ウクライナ難民は今のところ気持ちよく受け入れられているが、今後数が激増し、滞在が長期化した場合でも今の気持ちのままでいられるか大いに不安。コロナも決して終息しておらず、ドイツも今後自分のことで手いっぱいになる可能性が高い。

  • ウクライナには西側からの志願/傭兵が約22千人入っているといわれており、そのうちドイツ人が1000人くらいと推定されている(ロシア側がシリアから傭兵を集めていることは有名)。

  • ウクライナの次に狙われるとすれば、ウクライナのすぐ西で、ロシアの分離独立運動があるモルドバが最有力。但し、ウクライナでこれほど難航しているので、すぐに着手できるとは思えない。逆にウクライナがうまくいっていたら、ロシアは非NATO諸国のドミノ倒しに走っていたかもしれない。

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  • ロシアでは、ロシアでの操業や営業を停止した西側企業の資産がそのまま没収される可能性が高まっている。

  • SNSなどの記録/証拠を大切にして、後日ロシアが犯した戦争犯罪を全て厳しく追及できるようにしておかなければならない。