本日のドイツメディアの報道をざっとチェックして、私なりになるほどと思ったポイントや論調などを以下簡単にご紹介します:
- 今回のロシアによる事実上のウクライナ侵攻は、ベルリンの壁崩壊以来の歴史的転換点と捉えるべき
- 当初の密約に反してどんどん拡大を続けてきたNATOに対して、プーチンは徹底的に復讐しようとしている
- メルケル(とマクロン)が実現したミンスク合意の死は、ドイツ外交の手痛い敗北でもある
- ミンスク合意でも東部ウクライナの事実上の割譲を許していた。次にどんな合意ができても、更なる領土割譲は避けられない。プーチンは当然この勝利のパターンを繰り返してくる
- ジョージア同様、プーチンはウクライナに対して長期にわたって圧力をかけ続け、親ロシア政権が樹立されるのを待つだろう
- 経済制裁を厳しくするほど、ロシアとの経済関係が小さい米国と異なり、ロシア依存度が高いドイツのダメージが大きくなる
- ロシアに対してどのような経済制裁を課したとしても、中国が抜け穴になり潤うだけ(中国は国際社会を敵に回してまでそのような身勝手をすべきでない)
- この局面でのノルトシュトリーム2(NS2)の手続き停止は、対ロシアというよりも、対同盟国へのメッセージとして重要だった(遅すぎるくらい)
- ロシアはいずれエネルギー供給を絞って、エネルギー価格を釣り上げてくる
- そもそもドイツ経済はロシアのエネルギーに依存しすぎ。本来既存のパイプラインで供給余力は十分あるので、NS2など停止でなく完全に断念すべき
- ドイツは天然ガスの55%、石炭の50%、原油の33%をロシアに依存しているが、これらはいずれも簡単に代替が効かない
- 脱原発と脱石炭を進めるにあたって、一時的に天然ガスで穴埋めしようとしていたところだったので、実にタイミングが悪い
- 対ロシア/プーチンでドイツがこれまでナイーブであり過ぎたことに対するツケを今支払わせられようとしている
- 現状のEUの天然ガス備蓄は容量の3割程度で決して高くないが、①欧州は今年暖冬、②すでに2月下旬で冬の終わりは遠くない、③アジアも暖冬で天然ガス需要低い⇒今年はぎりぎり冬を乗り越えられそうな感触
- ウクライナ情勢がさらに緊迫すれば、ユーロ圏経済に対する不安が台頭するが、インフレ圧力も確実に高まる。せっかく市場が利上げに対する備えをした(イールドカーブに織り込んだ)ところなのだから、ただでさえビハンドザカーブに陥っているECBは安易にハト化すべきでない
★Deutschlandfunk ニュースブログ(ドイツ語ですがWEB翻訳で十分役立ちます)