ウクライナ危機では、NATO側からこれ以上打つ手のないまま民間人の犠牲者が激増しており、ニュースを見ているだけで心が痛みますが、 ドイツにおける受け止め方と、主要マスメディアでの論調についてご紹介します。
●ドイツ政府の危機対応に対するドイツ国民の評価は低い(ネガティブ評価が過半)。
結果的にウクライナ民間人に多数の死者を出す戦争への発展を許してしまっている上、SPDが過去からずっと親ロシアのナイーブなスタンスであったことに対して厳しい見方がなされているようです。
どちらかというとネガティブが21.9%、とてもネガティブが31.6%で計53.5%
●ウクライナをEUに(早く)加盟させることについては意見が分かれる。
気持ちとしてはすぐにでもEUの仲間に入れてあげたいところではあるものの、そもそもEUの基準を全く満たしていない(汚職も横行)。トルコとの兼ね合いも超微妙。
●引っ込みがつかなくなったプーチンがこれから何をしでかしてもおかしくないと感じていうるドイツ人が多いため、ドイツが戦争に巻き込まれる(上、青系統の線)、核戦争が始まるかも(下、上二つ)という懸念が高まっている。
【その他主要マスメディアの論調】
- ウクライナでの民間人の犠牲が急増していることから、直接軍を派遣できないならせめてウクライナ上空を飛行禁止区域(NATOが守る)にすべきという声も高まっているが、ロシアとNATOが直接戦火を交えて第3次世界大戦に発展する可能性が高いので、踏み切れない。
- バイデンでなければ(トランプのイメージ)、今頃ウクライナ内のロシア軍にミサイル打ち込みや戦闘機爆撃を加えてオオゴトになっていたかもしれない。ドイツとしてはバイデンでよかったと思うべき。
- プーチンが期待していた米国内の分断は実現していない。米国民はバイデンの方針に概ね賛同し、一致団結しつつあるように見える。
- ベアボック外相は、もともとGreenが大切にしてきた「基本的価値観」に基づく外交をしっかり展開している。何かと歯切れの悪い印象が残るショルツ首相より高く評価できる。戦争に反対する若き女性としても独特の存在感を発揮している。
- ただし、表立ってどんなに立派な演説をしても事態は好転しない。
(多少は汚れたものでもかまわないので)裏舞台での交渉に注力すべきである。 - SWIFT除外と中銀資産凍結は、ロシアの金融危機(銀行取付け騒ぎ)という形で想定以上の効果を挙げている。通貨ルーブルとロシアの銀行システムに対するロシア市民の不信感は極限に達しており、皮肉にもドル化が進むかもしれない。