5月8日の戦勝記念日(時差の関係でロシアでは翌5月9日)についてのドイツメディアの報道ぶりは以下の通りです。
- 1945年5月8日23時1分(中央ヨーロッパ時間)、欧州での第二次世界大戦はドイツ国防軍の無条件降伏により終結した。
- 時差が2時間あるため、ロシアは他のヨーロッパ諸国より一日遅れて終戦記念日を迎えることになる。
- 我々ドイツ人は、戦勝記念日を、国家社会主義(野蛮なナチス)からの「解放の日」として祝っているが、その野蛮なナチスこそ我々自身(の祖先)だったわけなので、ドイツにとっては計り知れない苦しみの日と表現した方がいい。
- 終戦当時、何が終わり何が終わらなかったか、そして何を繰り返してはならないかを、明らかにしなければならない。
- 今日のすべての国家には、侵略戦争や人道に対する罪を防ぐ義務がある。
- 第二次世界大戦での悲惨な経験から、冷戦終結後にヨーロッパの地で再び征服戦争が起こることなどまずあり得ないと考えられていたが、残念ながらウクライナ戦争によって、その考えが間違っているということが判明した。
- 拘束力ある国際秩序は、平和的共存永続を何ら保証しないということだ。
- ドイツにとって2日にわたるこの「二重の記念日」は、ロシアが「自分たちは当時と同様ナチス/ドイツと闘っている」といったウクライナ戦争正当化のプロパガンダに利用しているため、去年以来一層複雑な意味を帯びている。
- 全体主義的な支配のもとでの大量殺戮を自ら終わらせることができなかった分、ドイツが特別な責任を負っていることは間違いない。
- 当時のソ連がナチス独裁政権を屈服させる中心的役割を果たしたこと、その過程でロシア人とウクライナ人が計り知れない血の犠牲を払ったことを決して忘れてはならない。
- モスクワの赤の広場における毎年5月9日の軍事パレードは、2,700 万人の犠牲を払ってソ連がナチスドイツを打ち負かしたことを記念するものであり、本来は誇りと厳粛な追悼の日。
- 明るい未来よりは輝かしい過去を大衆に提示する方がはるかに簡単なので、ロシアのパレードには毎回力が入る。
- プーチン大統領は、ロシアのウクライナ侵攻を命じて以来2回目の戦勝記念日軍事パレードを行ったが、この戦争で彼が目的を達成できそうな兆しはほとんどない。軍事的余力が乏しいせいか、パレードの規模も圧縮されていた。
- 昨年、パレードに参加した外国の元首は 1 人もいなかったが、今回は異常に多くのゲスト(ベラルーシ、カザフスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、キルギス、ウズベキスタン、アルメニア)が参列した。但し、彼らがウクライナ戦争支持までしているかどうかは別問題。
- 2023年5月9日時点で、ヨーロッパにはまだ平和が訪れていない。EUが和平プロジェクト(ウクライナ経由で基本的価値を守るために戦っている)という名の下でウクライナに提供する100万発の弾丸の準備を進めているというのは何とも悲しい状況だ。
<日本語での報道例>~写真多数
<ヨーロッパ戦勝記念日 日本語WIKI>