日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20220308 ECBに対する利上げ圧力高まる

本日、ifo研より(恐らく大半が在ドイツの)145人のエコノミストに対する興味深いアンケート調査結果が発表されています。

Längerfristig erhöhte Inflationsrate für Deutschland | Fakten | ifo Institut

 

これによると、ドイツのインフレ率は、今年(2022年)4.36%、来年(2023年)3.43%、中長期/4年後(2026年)2.81%と、ECBのインフレターゲット2%を大きく上回り続けるという予想になっています。

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インフレ上振れの要因は、エネルギー・資源価格高騰、サプライチェーン障害の長期化と並んで、ECBの(誤った)金融政策も主因の一つとされています。
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ECBは直ちに行動(引き締め)に動くべきであるという意見か75%を占め、

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その手段として(最もわかりやすい)政策金利の引き上げを望む声が圧倒的に多数となっていました(QE減速(テーパリング)、TLTRO条件の厳格化、QE終了などが続く)。
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ユーロ圏にとって「近くの戦争」であるウクライナ危機の深刻化により、ユーロ圏経済の先行きに対する不安が大幅に高まっている一方、インフレ圧力がそれ以上に高まるため(恐らく名目成長はネットで押し上がる)、このような結果になったのではないかと思われます。

ECBとしては非常に悩ましいところです。

なお、EURIBOR3ヶ月物の金利先物のプライシングは、「来年1月頃にプラ転」となっていますので、年後半にECBの利上げが始まるという市場の織込みは、ウクライナ情勢の如何に関わらず維持されています。

Three Month Euribor Futures | ICE (theice.com)