日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20240320 独IAB/IMK経済予測のエッセンス

本日連邦雇用庁のシンクタンクIAB労組系シンクタンクIMKが揃ってドイツ経済予測をアップデートしていましたのでそのエッセンスを簡単にご紹介します。

 

①IAB(今年の雇用関連計数の予測が中心で、インフレや2025年の計数の予測はない)

  • ドイツ経済は低迷局面に陥っているが、その回復はさらに遅れ、今年通年での実質GDP成長率はわずか0.1%にとどまる見込み。
  • 2024年前半は全く冴えないが、年が進むにつれて回復に転じるはず。
  • 労働市場は、景気低迷の割にはよく持ちこたえている。
  • 就業者数は今年19万人増の4,612万人に達する見込み。
  • しかし、失業者数も273万人に増加見込み。長期失業率はコロナ前の水準を大幅に上回ったまま(スキルの低い失業者は再就職に苦労している)。
  • 労働力プールは今年20万人増えて4,858万人に達する(インフレや人手不足の緩和要因)。
  • 経済全体の労働量は0.9%増加見込み。病気休暇の減少が、労働時間の0.4%増加に寄与するはず。

<総括表>今年も就業者数は増加継続見込み(前年比+190千人)

●業種別にみると、今年も公務/教員/医療関係の増加が続く(近年のトレンドとして定着している)。デイケアの拡大、高齢化の進展、難民流入などがその背景。一方で建設・不動産では雇用減少見込み。


年労働時間は病欠減少で8.4時間(+0.6%)増える見込み。ストライキは最近激化しているが、失われる時間は▲0.1時間とごくわずか


②IMK

  • 世界経済は、インフレ低下→中央銀行による利下げ→資金調達コスト低下(特に資本財)を背景に回復に向かう見込み。
  • 世界貿易は昨年の+0.9%から、今年+3.4%/来年+3.9%と勢いを増す見込み。
  • ドイツ経済は1年半にわたって停滞しているが、今年も去年同様▲0.3%とマイナス成長に終わる見込み。年初のマイナスの下駄が余りにも大きいため。
  • 就業者数は増加が続いているが、今年+0.3%/来年+0.1%と減速する見込み。
  • 失業率は上昇に向かい、今年5.9%/来年6.0%となる(他機関比悲観的)。
  • 財政赤字の名目GDP比は今年▲1.8%/来年▲1.2%と大幅低下へ(かなりの緊縮)。
  • エネルギー価格ショックの余波が残るため、CPIは今年2.4%/来年2.0%(とやや高止まり)。

<総括表>名目成長が去年の+6.6%から今年+2.3%に急減速するので実質マイナスに。

  

減速の主因は建設投資の大きなマイナス。前期比マイナスが来年央まで続く。

●日本については今年+0.6%/来年+1.1%を予想。

 

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