ドイツ5大研の一角かつ唯一の旧東独メンバーであるハレ研(IWH)がドイツ経済見通しをアップデートしました。ポイントは以下の通りです:
- ドイツでは、高インフレ、金利上昇、外需低迷、家計・企業の不確実性が経済を圧迫。
- 欧州経済にとってはロシア侵略戦争を巡る不確実性や中国経済低迷も逆風。
- ドイツの実質GDPは今年▲0.5%、来年+0.9%を予想(共に低め)。
- 製造業はずっとエネルギーコスト高と外需低迷に苦しんでいる。それでも熟練労働者不足なので雇用を維持(むしろやや増やして)している。
- 資金調達コストの大幅増加により、建設投資は大幅に減少。
- 一方、設備投資は、ドイツ連邦軍特別基金による公共支出と成長機会法による減価償却オプションによって若干サポートされる。
- 今後も気候変動対応やエレクトロモビリティへの移行のため、多くの投資が必要になる。
- インフレ率の低下に伴って実質可処分所得が緩やかに増加することから、個人消費は今後徐々に持ち直していく。
四半期GDPの走りは、Q3前期比▲0.2%、Q4+0.2%、来年は0.3~0.4%が続くという見立てになっています。
<予測一覧表> 賃金(時給)は今年+5.5%、来年+4.1%、再来年+3.6%の見込み。
GDPギャップは足元大きくマイナスかつ当面プラ転しないので、インフレ抑制圧力になります。
(ファンチャート)GDP軌道はこのくらい大きくブレうると見ています。
★ドイツの潜在成長率は0.7%に切り下がっていると推計されています。
マイナス成長は旧西独の不振のせいであり、旧東独(5州)は今年+0.5%成長となっています。
日本は今年2.1%、来年0.9%成長、インフレは来年以降2%割れと予測されています。
これからも続々と四半期アップデートが発表されるので随時チェックします。
現時点では6月以降発表分11機関予測平均値は▲0.38%となっています。