日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20240625 ドイツの気になるデータ5選(賃金交渉動向一覧表など)

①賃金交渉動向~今年もマクロ経済全体で+5~6%の名目賃金上昇が見込まれている(インフレは2.5%程度なので実質賃金は+3%ペース)。

これまでの妥結状況


やや遅れて確認できる実際の賃金上昇率は、今年第1四半期時点で前年同期比名目+6.4%(インフレ差し引き後の実質ベースでも+3.8%)とかなりの上昇となっている。

https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2024/05/PD24_211_62321.html


②建設受注
(4月)~前月比▲1.5%(青線)、トレンド(赤線)としても弱い。ECBの利上げで急減速した後、なかなか立ち直れていない。

https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2024/06/PD24_244_441.html

 

③自動車生産と付加価値の関係~近年、自動車一台当たりの付加価値(薄青)はドイツ国内での生産量(紺)を大きく上回っている。国内での生産は付加価値の高い重要なものに絞り込み、海外(特に中国)からその他の部品を安く調達して、最終製品を高く売ることができている状態を示唆している。車だけでなく他の製造業でも同様の現象が発生しているので、実質GDPは鉱工業生産の見かけほど弱くない。


④製造業業種別受注残~積み上がっているのは電機(緑)と機械(紺)であり、車(赤)と化学(薄青)はコロナ後に積み上がった分を既に消化済。

③と④のデータソース

https://www.helaba.de/blueprint/servlet/resource/blob/kundenresearch/643576/ac94560476202d727ca8974fbe86b7e1/branchenfokus-20240621-data.pdf


⑤ドイツ連銀週次経済活動指数
(WAI)~最近失速気味(右青線)ながら、四半期実質GDPモメンタムは前期比+0.4%と堅調を維持。

https://www.bundesbank.de/de/statistiken/konjunktur-und-preise/woechentlicher-aktivitaetsindex

 

<本日の気になるニュース>

全く問題の根本的解決につながらないこのような中国からの提案に対して、万一ドイツがEU対中制裁関税阻止に動くようなら、EUの分断(皆が自国の利益のためだけに走り始める)が決定的なものになりそう。

www.bloomberg.co.jp

 

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