【一言総括】不況で失業はやや多めながら、就業者数と賃金は非常に堅調であり、そろそろ個人消費回復の背中を押し始めそうな状況。

https://tradingeconomics.com/germany/unemployment-change
ドイツの7月雇用統計では、季調済失業者数は前月比+18千人と、市場予想(+15千人)比やや弱めのヘッドライン。各種景気先行指標の回復が腰折れし始めている中、景気遅行指標としての雇用の軟化が長期化しそうな気配。但し、後述の通り、高水準の賃上げを続けながら就業者数は増え続けているので、雇用環境全体として決して弱いわけではない。
●失業率<国内基準>~6.0%で横ばい。2022年以降の失業率上昇の大半は2022年6月からのウクライナ難民カウント開始によるものだが、基調も悪化方向であることに疑いの余地なし。連邦雇用庁は「景気低迷のため労働市場も厳しい状況が続いている」とコメント。

<以下◆4つはドイツ連邦雇用庁月報より抽出したもの>
◆就業者数~じりじりと上昇を続け、毎月過去最高水準を更新している(季調後、1か月遅れ、6月前月比+7千/5月+20千/4月+18千人)。実質賃金の大幅上昇と併せて、いずれは個人消費を押上げ始めるはず。

◆操短~5月211千人(4月226千/3月213千人)でいったん上昇にブレーキがかかった格好。連邦雇用庁は「不況の割には低水準」とコメントしているが、引き続き今後の人員削減開始の予兆として要注目。

◆求人数~新規流入(下線)がじりじり減少する中、求人残高(上)も低下トレンド継続。水準としてもコロナ前を下回り続けている。

◆失業率<国際労働機関(ILO)ベース>~ドイツは3.4%と最近やや悪化傾向にあるものの、他国比ではかなりの優等生ぶり(EU内では下から5番目、EU平均は6.0%)。

●ifo雇用バロメータ~軟調継続。採用にまだ強気なのはサービス業のみ。


https://www.ifo.de/en/facts/2024-07-31/ifo-employment-barometer-falls-again-july-2024
●IAB労働市場バロメータ~こちらは小反発も低水準(前項ifoと当該IABはドイツ当局が最も重視する雇用先行指標)。新規求人需要が減って、不況業種から染み出た失業(橙)者にとってはスキルもマッチしづらくて厳しいが、人手不足は続いているので既存の雇用(緑)はしっかりリテインされているという微妙なバランスが継続。
https://iab.de/daten/iab-arbeitsmarktbarometer/
●IAB人手不足度指数~前月比大幅軟化。但し、水準はほぼコロナ前並みで、不景気の割には人手不足感が根強いという状況が続いている。
https://iab.de/daten/arbeitskraefteknappheits-index/
●Indeed日次オンライン求人数~上記の公式求人数同様、減少基調継続。失業者にとってはますます厳しい状況になっている。

●ドイツ連銀の見立て~失業者数は今年いっぱいくらいは上昇を続け、その後緩やかに減少に向かう。企業が新規採用に慎重なこともあり、一人当たり労働時間はじりじり増える。

マクロベースでは昨年に続いて今年も+6%の賃上げが続く見込み。

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