先ほどドイツ連邦雇用庁から7月のドイツ雇用統計が発表されました(米雇用統計と違って賃金データは含まれていないので、インフレに対する直接的影響は読み取れないという点についてはご了承ください)。
●市場が最も注目する季節調整後失業者数前月比増減は▲4千人と市場予想(+15~20千人)より強め(失業者数少な目)の内容でした。
●但し連邦雇用庁は先月同様「景気低迷が雇用に悪影響」とネガティブ気味に総括しています。景気モメンタムの悪化が見込まれる中、(人手不足で就業者の減少は起こりにくいものの)失業者数に上昇圧力がかかり続けている点を重視したものと思われます。
●雇用の先行きについて、連邦雇用庁は以下のIAB雇用バロメータ(青~3か月後の見通しを示唆)が中立(100)より上にあることを確認しつつも、以下のようにまだら模様の展開と評価しています。
「就業者数」(緑)~引き続き堅調
「失業者数」(橙)~増加圧力
●失業率は5.6%と予想外に反落(▲0.1%)。
●就業者数(1か月遅れなので6月分まで)は、これまで毎月コンスタントに上昇し続けてきましたが、6月は前月比▲1千人の減少、45.7百万人となっています。
●雇用の先行指標である求人数(残高:上線)は、まだ比較的高水準(コロナ前並み)ながらもじりじりと減少が続いています。
求人の新規流入(下線)もやや弱含みに推移していますので、警戒して見ています。
●オンライン求人数も最近やや軟調気味に推移しています。
●操短(勤務時間と給与を減らして雇用を維持するしくみ~給与は公的支援で一部補充される)については、コロナによる急増分をほぼ完全に解消した後、低位安定推移を続けています。
景気悪化で特に製造業での稼働率引き下げなどにより労働投入が不要になってくると、こちらが真っ先に急増する(失業増加の先行指標となる)のですが、今のところその兆しはありません。
●なお、雇用統計と直接関係ありませんが、ドイツ連銀(BUBA)が毎週月曜夕刻に発表している実験的GDPナウキャスト:週次経済活動指数(WAI~上青線)は四半期実質GDP前期比換算で+1.1%のモメンタムを示しており、他の主要景気先行指数(ifo~下青線、PMI~下赤線など)の絶不調に逆行する推移を見せています。
<データソース>
https://tradingeconomics.com/germany/unemployment-change
https://iab.de/daten/iab-arbeitsmarktbarometer/
https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2023/08/PD23_303_132.html
https://www.dashboard-deutschland.de/comparative-analysis/pulsmesser_wirtschaft
https://www.bundesbank.de/de/statistiken/konjunktur-und-preise/woechentlicher-aktivitaetsindex
<ドイツ賃金情勢>
<その他ドイツ経済関連情報>