6月30日にドイツ連邦雇用庁から6月のドイツ雇用統計が発表されました(米国の雇用統計と違って、賃金データは含まれていないので、インフレに対する直接的影響は読み取れないという点についてはご了承ください)。
●市場が最も注目する季節調整後失業者数前月比増減は+28千人と市場予想(+13千人)より弱め(失業者数多め)の内容でした。
●連邦統計局は「景気低迷が雇用にも明確に悪影響。」と久々にネガティブ気味に総括しています。
●ウクライナ難民失業者カウントによる特殊要因を除いても、失業者数は増加。6月時点でウクライナ難民の労働力人口は50万人、うち19万人が失業者となっています。
●失業率もわずか(+0.1%)ながら久々に増加。
旧東独が押し上げ。
但し、同一基準で比較するとドイツの失業率はEU内でかなりマシな方です。
●就業者数(1か月遅れなので5月分まで)は、これまで毎月コンスタントに上昇し続けてきましたが、5月は10か月ぶりに前月比▲4千人、45.7百万人に減少しています。
●雇用の先行指標である求人数(残高:上線)は、比較的高水準ながらもじりじりと減少が続いています。求人の新規流入(下線)も弱含みで推移していますので、やや警戒して見ています。
●オンライン求人数も最近軟調ですが、最近は下げ止まっているように見えます。
●企業アンケートベースの雇用先行指標であるifo雇用バロメータも同様に下げ止まっています。サービス業での求人が引き続きしっかりしている模様です。
●操短(勤務時間と給与を減らして雇用を維持するしくみ~給与は公的支援で一部補充される)については、コロナによる急増分をほぼ完全に解消しています。
景気悪化で特に製造業での稼働率引き下げなどにより労働投入が不要になってくると、こちらが真っ先に急増する(失業増加の先行指標となる)のですが、今のところその兆しはありません。
<データソース>
https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2023/06/PD23_259_132.html
https://www.ifo.de/fakten/2023-06-29/ifo-beschaeftigungsbarometer-leicht-gestiegen-juni-2023