◆景気も雇用もそこそこしっかりしている中でインフレが低下しており、米経済の全体のバランスとしては良いものになってきた。市場は9月スタートで年内2〜3回の利下げ(ドットプロット以上)を織り込んでいる。
◆米経済をこれ以上良くするとすれば、財政頼みから民間主導への移行。利払いが国防費を上回る状況は異常。
◆トランプが掲げる違法移民の追放で人手不足になり、インフレが再燃するという懸念があるが、合法的に米国で働いている低所得層の所得底上げは、格差縮小の意味で意外と良いことかもしれない。
◆金利高止まり長期化で地銀などの債券含み損が引き続き高水準だが、当局と市場がずっと注視している部分であり預金逃避などのサプライズにはなりにくい。実現損か含み損かはあくまで会計上の問題であり、財務体力に差があるわけではない。
◆EGIは他のPEと異なり、買ってテコ入れした会社の価値が上がったらすぐに売り抜けたりするのではなく、「patient capital」としてじっくり育てる。売りを検討するのは、業界の潮目が変化した時。
◆コロナや地政学リスクの高まりをきっかけに、米経済のresilienceが懸念されたが、予想以上の堅調ぶりでresilienceは証明されつつある。今後は新たな環境下で米経済のdynamismをどう高めるかに注力すべき。
◆雇用や景気に若干軟化の気配はあるものの、総じて底堅い中でのインフレ低下であり、まさに絵に描いたような「softlanding」「goldilocks」と言える。
◆市場は来年末まで8回の利下げを織り込んでいるが、大統領選挙を跨ぐ(新政権の新政策次第の部分が大きい)こともあり、これは流石に期待し過ぎている可能性はある。
◆バイデン再選なら債券市場が大きく動くことはなさそうだが、トランプ2.0では関税、減税、移民、FEDへの圧力などによる不透明感が激増するため、債券市場が荒れる可能性もある。