日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20240713 週末のBloombergより(FED利下げなど)

◆景気も雇用もそこそこしっかりしている中でインフレが低下しており、米経済の全体のバランスとしては良いものになってきた。市場は9月スタートで年内2〜3回の利下げ(ドットプロット以上)を織り込んでいる

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◆米経済をこれ以上良くするとすれば、財政頼みから民間主導への移行。利払いが国防費を上回る状況は異常。
◆トランプが掲げる違法移民の追放で人手不足になり、インフレが再燃するという懸念があるが、合法的に米国で働いている低所得層の所得底上げは、格差縮小の意味で意外と良いことかもしれない。
金利高止まり長期化で地銀などの債券含み損が引き続き高水準だが、当局と市場がずっと注視している部分であり預金逃避などのサプライズにはなりにくい。実現損か含み損かはあくまで会計上の問題であり、財務体力に差があるわけではない。
◆英労働党は具体的政策をあまり明示せずに「change」を旗印に単独過半数を確保し、政治的安定は確保された。具体的にどこで増税するかとEUとの関係改善(但し、人の往来の完全自由化が必要なので、EU復帰はない)に注目。
◆EGIは他のPEと異なり、買ってテコ入れした会社の価値が上がったらすぐに売り抜けたりするのではなく、「patient capital」としてじっくり育てる。売りを検討するのは、業界の潮目が変化した時
◆コロナや地政学リスクの高まりをきっかけに、米経済のresilienceが懸念されたが、予想以上の堅調ぶりでresilienceは証明されつつある。今後は新たな環境下で米経済のdynamismをどう高めるかに注力すべき。
◆その際、GDP比▲7%に膨張した財政赤字への対処とAIの活用がポイントになりそう。
核兵器に米ソ間の協定が必要だったように、AI兵器についても米中間で何らかの協定がそろそろ必要かもしれない。
 
FEDはもう少しインフレ鎮静化(2%への安定的到達)の確証が欲しいと言っているが、市場は9月利下げ開始を確信。7月は10年物国債金利が一時4.5%に上昇(ベアスティープ)したが、今では4.2%にまで低下。

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◆雇用や景気に若干軟化の気配はあるものの、総じて底堅い中でのインフレ低下であり、まさに絵に描いたような「softlanding」「goldilocks」と言える。
◆実質金利はかなり上昇しており、9月利下げがなくなるリスクは少ないように思われるが、7月への前倒しや▲50bpも同様にunlikely。FEDは慎重にデータを確認しながらゆっくりと金利を調整してゆきたいはず。
◆市場は来年末まで8回の利下げを織り込んでいるが、大統領選挙を跨ぐ(新政権の新政策次第の部分が大きい)こともあり、これは流石に期待し過ぎている可能性はある。
◆バイデン再選なら債券市場が大きく動くことはなさそうだが、トランプ2.0では関税、減税、移民、FEDへの圧力などによる不透明感が激増するため、債券市場が荒れる可能性もある。
長期金利は利下げ開始で今よりは下がるだろうが、デュレーションはあまり伸ばし過ぎない方が良い。
◆高い実質金利デフォルト率が急に跳ね上がるような気配はない。タイトなスプレッドでも引き続きクレジット市場は投資家需要強く、起債も活発。
 
 
 
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