日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20240302 週末のBloombergより

◆クルークマンに言わせれば、Goldilocksと呼ぶにはインフレが高すぎ、景気は弱すぎる。
◆Data dependent というのは、データの表面的結果をダッシュボードで確認するだけでなく、アネクドータル情報などと絡めて、データの底流の流れや将来の方向性を読みとること。
帰属家賃データが実態とかけ離れて高く出過ぎているとの指摘もあるが、FEDはそういった可能性も含めてたの関連データを深く総合的に見ている。今後家賃が低下に向かう可能性には自信を持っているが、それがどれくらいなマグニチュードになりそうなのかについてはまだ読み切れていない。
◆AIにより生産性がすでにかなり向上している兆候があるが、それが持続的に今後も続くものなのかどうかについてはまだ誰にもわからない。
◆もしこの生産性向上(ディスインフレ要因)が持続的なら、景気が強くても金融を引き締める必要は乏しくなる。
◆在宅勤務普及などで需要が戻らない郊外のオフィス不動産はまだ価格下方修正の途上にあるが、もう少し下がればそれらをうまく拾おうと待ち構えているカネが見えている。米地銀発金融不安が再燃する可能性は低そう。
◆①FEDはもう利上げではなく、利下げ方針に転じているという安心感、②マチュリティウォールはまだ先なので多少利下げが遅れてもリファイナンスコストに大した影響はないとの読み、③適度なインフレとリセッション回避のおかげで企業業績堅調、といった要因を背景に、S&P500は高値更新を続けている。
◆米株は他市場と比べてすでにかなり割高に見えているかもしれないが、米企業はテック主導で利幅の大きなビジネスを展開している上、いざという時にはFED利下げの支援があるので、他の欧州やアジアの市場をアウトパフォームし続けそう。
◆米長期金利は昨年末頃に期待していたほどにはなかなか下がらないが、5%超の利回りでプールされている資金がまだまだたっぷりあるので、長期債の押し目買い需要は根強く、金利はこれ以上には上がりにくそう。
◆商業不動産を一緒くたにネガティブ視してはならない。データセンターは絶好調。巨額な資金と十分な電力供給を確保する必要があるため、Blackstoneのような大手でないとハンドルできない。物流センターや賃貸住宅も需要はかなり強い。うまくストラクチャリングされたCMBSにも魅力的なものが多い。
◆金融市場が悪化するリスクとしては、現時点であまり想定できていないブラックスワン的なものである可能性が高い(銀行システム不安、インフレ、レイセッションとかではない)。地政学系の突発事象やシャドーバンキングエリアでの大事故など。
 
◆CPIやPCEはイマイチながらも他の景気指標は弱めで、2年米国債金利は今週ネット▲13bp、年内3回強の利下げ織込み(12月FOMCの見立て通り)で着地。
FEDは利下げを全く急いでいないし、年内利下げなしを予想するエコノミストも出始めているが、インフレ低下の再開や雇用の軟化が確認できれば利下げ余地が比較的簡単に生まれるので、6月利下げ開始の織込みは現時点で合理的。
◆逆にマーケットはFEDの利下げシナリオを微塵も疑っていないので、長期据え置き/場合によっては利上げ、というニュアンスのコメントが万一FEDから出始めると、かなりネガティブに反応することになりそう。
◆金融資産の値上がりがあまりにも大きいため、金融環境は利上げ前と同じくらいに緩んでいる。財政出動とともにこの金融環境緩和が米国景気の予想以上の強さを支えている。
FEDバランスシート圧縮ペースの変化にはそろそろ注意が必要だが、あくまで目先の流動性の調整が目的であり、長期的マクロ経済見通しでドライブされている米長期金利を大きく左右するとは考えづらい。
◆年初来の社債発行ペースは、ここ数年来で最高。応募倍率も高く、投資家の根強い需要(スプレッドはタイトでも魅力的な絶対金利レベル&潤沢な手元資金〜高利回りなのでたくさん保有〜が背景)は健在。
◆2月は結果的にクレジットの濃いところ(CCC)が最も高いパフォーマンスを発揮。うまくストラクチャリングされたCLO(銀行ローンを証券化したもの)にも魅力的な商品が多い。
◆NYCBなど一部の地銀の苦境が金融システム不安に発展するリスクは(去年と比べて)極めて低く、それでスプレッドが拡大するなら押し目買いがかなり入りそう。
◆来週はパウエル議会証言、ECB理事会、米雇用統計とややヘヴィ。
 
<日独経済日記>

www.youtube.com