日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20240127 週末のBloombergより

週末のこの二つ(Real YieldとWall Street Week)はマーケット理解と英語学習の2面から見て最良の素材だと思っています。youtu.be

◆景気は予想以上に強く、インフレは予想以上に低下しているので、過去に例のない予想外のソフトランディング(ゴルディロックス)シナリオ実現の可能性がさらに高まっている(株には最高)。
◆市場は5月開始&5回プラスαのFED利下げを織り込んでおり、依然先走り感が根強いが、今くらいの指標の出方が続くなら、実際に5月や6月にスキップされないと修正されないのではないか。
◆インフレ低下で実質金利はかなり上昇しており、過去の大幅急速な利上げの累積効果や、今の消費ペースが持続的でないことなどを考えると、特段大きな景気の悪化がなくても2%くらい利下げは十分に正当化されうる。
◆巨額の財政赤字を埋めるための米国債発行についての来週のアナウンスには少し警戒が必要。
◆高金利かつ大量の短期国債から10年/30年の長期債へのシフトがどのみち必要であり、長期債に荷重感が出ればイールドカーブがベアㇲティープして株にも悪さをする可能性がある。
◆年初来グローバルベースで社債の大量発行が続いているが、こちらはまだ荷重感なし。米社債スプレッドはIGで93bp、HYで334bpとむしろタイト化している。
◆高い金利水準、ソフトランディング、株対比での割安感が社債買いのサポート材料。今後多少デフォルトが増えてスプレッドが広がっても金利低下で十分補われるとの期待も根強い。
◆デフォルト率は既にじりじり上がり続けているが、通常はデフォルトに至るずっと前にコベナンツや融資条件緩和交渉などの予兆があるので、投資家がしっかり見ていれば十分回避可能。
 
◆モメンタム:米経済とトランプにはあり、中国経済には欠けている(取り戻そうと必死)。
◆利下げ開始付きソフトランディングで株高が続いているが、バリュエーションはやや伸びきっており、実際の業績の上振れがないとこれ以上の株高は苦しそうな感触。
◆Magnificent 7の中では景気回復によるシクリカルな物販/広告収入増大が見込めるAmazonとAlphabetが魅力的(TeslaやAppleには不安あり)。
◆歴史的大選挙イヤー(世界のGDPの6割を占める77カ国で選挙)となる今年、資産運用担当者としては、ボラティリティのスパイクに常に備えておく必要がある。
◆過去14年で米株は8.7倍になり、世界のアセットクラスをリードしているが、今後もテクノロジー中心に最もしっかりした企業収益を叩き出すのは米企業になりそう。安易な分散より米株にステイすべき。
◆インデックス全体のバリュエーションはセクターウェートで調整する必要がある。成長業種が多くて割高に見えているだけのことも多い。中国株はどんなに安く見えても買うべきでない。
◆今年の期待リターンは米国債5%、米株6%とさほど変わらないように見えるが、債券と違って株の方は大きなアップサイドが期待できる。
◆特に含み益が大きな株ポジションは、債券への入れ替え目的程度で安易に売って課税されると大損(じっと持ち続けて含み益を伸ばす方が得策)。
◆一方、債券は十分金利が高いので、大選挙イヤーのボラを凌ぎたい投資家には魅力的で、債券需要は少なくとも今のところ非常に旺盛。
クリントン政権下での財政危機では、米国内に(今はない)危機感があったため、投資と節約のバランスをうまく取ることができ債券市場からも好感された(財政は債券市場に見放されるとおしまい)。
◆今は財政問題が当時より遥かに深刻なのに、減税(赤字拡大の主因)期待でトランプに投票する人が大勢いて非常に危うい。米長期金利が思ったほど下がらないのは、そういったリスクを感じ始めているためではないか。
債務危機はある臨界点(どこにあるかは事前にはわからない)を超えると突然やってくる。増税共和党が抵抗)と歳出削減(民主党が抵抗)を半々くらいの割合で財政健全化に着手しておくべき。
◆2025年あたりから債務借換が本格化(Maturity Wall到来)するが、金利低下局面にあったこれまでと違って、初めて大きなコスト増を伴うリファンディングになる。しっかりマネージできない企業も出てくる。
◆去年までプライベートクレジットに流れていた起債が、最近は市場でも売りやすく/銀行も買いやすくなってパブリック(シンジケートローン)に戻ってきている。但しプライベートクレジットの長期的拡大トレンド自体は不変。