日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20240120 週末のBloombergより

◆市場の利下げ織り込みは、3月40%、年内5.3回まで大きく後退。
◆今週は米大手銀・地銀が起債ラッシュ。S&P500は新高値更新。
◆景気や雇用はまだまだ強いが、インフレは相応に落ち着いており、ペイントレードは10年金利(足元4.13%とまあまあの高利回り)が先に3%まで低下してしまう方。
◆QTのスローダウンも近づいてきており、債券の押し目買い意欲はかなり強い(一方、利下げ期待で債券ロングがかなり溜まっているという反対の見方もある)。
◆3月の織り込みは完全に剥げ落ちるかもしれないが、年内3回(FEDプロジェクション)まで利下げ期待が後退することはなさそう。
金利の絶対水準が相応に高く、債券投資家(常にプロフェッショナルなペシミストたるべき)としては金利がなかった時代と比べていくらでもやりようがある。
◆しかし今の市場は、soft/no landing + 年内5回の利下げという(普通はあまりない)理想シナリオで走ってしまっているので、そこから外れる場合に備えておかなければならない。
◆リセッションは弱い企業を振り落とし、デフォルト率を急騰させるが、今回はコロナですでに弱い企業が振り落とされているので、デフォルト率急上昇のリスクは低い。
◆高めの金利水準とプライベートクレジット市場の流動性プレミアム低下により、パブリッククレジット市場の魅力が増している。うまく使い分けると良い。
 
 
 
◆早期利下げを支持する経済データは出ておらず、FED高官も口先介入しているので、市場の早期大幅利下げ期待は後退しつつある。
◆11月5日の米大統領選に向けて、金利を下げればトランプからバイデン支援だ、下げなければバイデンからトランプ支援だと言われそうで、FEDとしてはかなり悩ましい。
◆政府閉鎖はかろうじて回避されたが、政府の過剰債務問題は深刻。債務水準が高い上に今後は国防や脱炭素で財政負担も増え続けるので、社会保障改革や増税は喫緊の課題。
新日鐵USスチール買収には何ら安保上の懸念はなく、米経済にとって有益な海外からの投資呼び込み。選挙前のポピュリズム(誤った保護主義)に屈してこれを邪魔するかどうかでバイデンは真価を問われている。
◆今回の米大統領選は、大統領として過去に何をしたかがはっきりしている2候補からの選択なので、(特にビジネスの立場から見ると)不透明感は低い。
◆トランプ第1期目の経済政策を高く評価する見方もあるが、6割を海外ビジネスに依存する米企業にとって西側諸国との協調は非常に重要であること、関税は米国民に対する実質増税であること、当時は超低金利に救われていたこと、などを考えると、トランプの政策の方がビジネスフレンドリーだとは必ずしも言えない。
◆どちらが大統領になっても、米財政の立て直しは急務。いつ起こってもおかしくない心臓発作を抱えているようなもの。
◆2023年はM&Aがかなり低調だったが、今後回復に向かう手応えがある。金利低下(期待)の追い風というよりは企業価値が高まる方向、変革が必要とされる方向に風向きが変わったことの方が大きい。
◆中国は直近10年くらいの経済政策を誤ったため、不動産バブルが崩壊し、海外資本が逃げ出し始め、若者たちの希望が失われている。値下がりでバリュエーションは改善したが、投資を再び呼び込める可能性は低い。
◆中国に残された唯一の活路は、脱炭素やどのみち自国に必要だった各種環境対策(土壌・水質・大気汚染類)関連投資くらいか。