◆早期利下げに慎重だったパウエル議長をサポートするかのような激強の雇用統計が出て金曜は金利大幅上昇。
◆米商業用不動産と引締め累積効果起因の米地銀不安が再び台頭し、地銀株下落/銀行債スプレッド拡大。
◆フォワードカーブはまだまだかなりの利下げ(5月スタート年内5回)を織り込んでいるが、高利回りのMMFやTBから慌てて中長期債にシフトするニーズはかなり減ったのではないか。
◆海外経済が弱い中での米経済のこの強さは異常。コロナ後のサプライサイド正常化によるディスインフレ圧力が今年も続くとは限らず、インフレ上振れリスクをそろそろ意識しないといけないかも知れない。
◆QTはFEDのバランスシート正常化に必要であり、資金吸収後の流動性も特段問題ないことから、仮に利下げが始まっても続くだろうし、QT減速はやるにしてもかなり後になってからになるのではないか。
◆投資家から見てスプレッドはタイトだがイールドが十分魅力的という環境継続で、起債市場は引き続き活況。
◆米景気が強くデフォルトリスクは差し迫っていないので、社債の対国債スプレッドは、デフォルトの補償というよりは、国債比で劣る流動性のプレミアムとしての性格が強く意識されている。
◆市場は「利上げなし確定で、利下げ軌道だけ見たい(乗り遅れまい)」というスタンスになっており、パウエル議長の利下げ慎重発言でも金利は上がらなかったが、さすがに強い雇用統計で利下げを1回分吐き出した。
◆景気減速の兆候は延滞のわずかな上昇や不動産セクターなどにしか見られず、株高などで金融環境も大きく緩和しているので、結局はFEDが言う通り年後半3回の利下げが精いっぱい、ということも十分ありうる。
◆ウクライナ戦争以降、市場が戦争に慣れてしまっていることもあり、米国がイランに直接攻撃でもしない限り、株売り/債券質への逃避買いとはならないのではないか。
◆安全資産の高利回りがもう少し続きそうだとなると、敢えて(プライベートクレジット市場などで)クレジットリスクや流動性リスクを取ろうとしない投資家が増えてくる可能性がある。
◆どんな先進的テクノロジーにも、初期フェーズにはバブル的要素が伴う。足元AI投資はブームとなっているが、その後「ちゃんとマネタイズできているか」が問われる時が正念場になる。
◆財政問題は成長率と支払金利の兼ね合いの問題。恐らくAIによる生産性上昇傾向(株にも追い風)と金利低下傾向を考えると、米財政赤字への対処は最優先で対応すべき喫緊の課題には見えない。
◆トランプは全世界に10%の関税をかけて貿易赤字を減らそうとしているが、輸入を止めるくらい関税を上げない限り、貿易赤字は消えない。資源配分の非効率化や地政学的面でのデメリットの方が大きいのではないか。
◆コロナ禍は世界経済にとって第2次世界大戦以来の新手の大事件であったため、過去のモデルの延長線上での経済予測はことごとく外れてきた。失業率を上げないとインフレは下がらない、は間違っていることが判明。
◆冬の悪天候にもかかわらず強い雇用統計だった。中立金利が今思っている(2.5%)よりずっと高いところにある可能性が高まっている。
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