日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20240224 週末のBloombergより

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FED高官は軒並み「早すぎる利下げ」に警鐘。「Slower to lower」。
◆2年物米国債利回りは今年のボトムから約50bp上昇し、利下げ期待は6月スタート/年内3.4回(ほぼ12月時点でのFED予想)にまで後退。
◆6月に実際にFED利下げに踏み切るには、サービスインフレ減速の確信が必要。
◆逆に市場が「次は利上げもありうる」と怖れ始めるには、インフレ反転上昇の確信が必要。
◆これまでのところ、「(多少遅れるかも知れないが)次は利下げ」という確信があるので、債券の大量発行も根強い投資家の「押し目買い」でうまく消化されているが、その確信が揺らぐと消化が困難になりうる。
◆企業業績が良好な上、イールドの絶対水準が高いので、起債パイプラインがかなり大きいにもかかわらず、(起債担当者も驚くほど)旺盛な投資家需要を背景にクレジットスプレッドには縮小圧力が働いている。
◆最近はデータセンターなどのITインフラを裏付資産とする魅力的証券化商品が登場している。
◆これまで資産としての質の劣化が懸念されてきた商業用不動産や消費者クレジットでも、リスクをうまく切り分けたCMBS/ABSで十分安全かつ魅力的な商品に仕上げやすくなってきた。
◆米クレジットスプレッドは、IG:89bp/HY:306bpと恐ろしくタイトながら、バブル的な雰囲気はない。
◆警戒していたリセッションはいつまでも実現せず、その間企業の信用力は(地銀も含めて)改善し、金利水準が高い上にボラは低いと、いった要因に裏付けされてタイト化が進んでいる。

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◆最近はFEDでも地政学リスクでもなく、Nvidia/AIが金融市場をドライブするようになってきた。
◆低金利時代に積み上がった、政府/企業/不動産/銀行の何兆ドルもの債務が、今後数年間でコストが非常に高いリファイナンスを強いられることは確実(金利が3%から6%に跳ね上がるイメージ)であり、どんな優良資産に対しても決して忘れてはならない。
◆景気/雇用が強く株も強い中、FEDが1%規模の利下げを敢えて断行する理由は見当たらない。
◆過去に決めた財政出動IRAなど)が選挙年の今年フル回転する他、今後減税も来そうなので、リセッションのリスクはほぼなくなっている。
◆市場は今完全に地政学リスク(グローバル企業のトップたちは常に心配している)のことを都合よく忘れているが、再び意識されるような展開になる場合には、インフレ要因でもあるので、意外と大きなダメージになる可能性がある。
◆ネット上のターゲット広告は適切に課税されるべき。サブスク料金や寄付で成立するビジネㇲモデルの方が、偽情報拡散や炎上商法などの歪が発生しにくい。
◆経済安全保障上の懸念が全くないはずの日本製鉄によるUSスチール買収を米政府が止めるとすれば、非常に愚かな判断。外資の資金とノウハウを米国に呼び込むことは国益でしかない。
◆米国経済にとって、低学歴者でもある程度しっかりとした所得/雇用を確保できることが中長期的に重要。関税でも補助金でも、うまく活用して国内の雇用を維持すること(中国などに雇用を流出させないこと)は極めて重要であり、自由貿易の障害となる政策がすべて悪だと考えるべきではない。
地政学、政府シャットダウン、米大統領選など、不透明要因は依然山積ながら、これ以上利上げがない、という安心感はビジネス/投資を進める上で非常に大きな安心材料になっている。

 

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