先ほど発表されたドイツ連銀の半年毎(6/12月)のドイツ経済予測アップデートのエッセンスは以下の通り。ドイツのインフレ(HICPベース)がかなり高止まりすると見ている模様。
- GDPとインフレの予想ヘッドラインは冒頭図の通り。GDP軌道はコンセンサス並みで特段強くないにもかかわらず、2026年になってもドイツのインフレは目標の2%を超過するという見通し。
- ECBはドイツのインフレ(ユーロ圏のウェート3割)だけを見ているわけではないものの、ナーゲル独連銀総裁が年内の追加利下げにかなり慎重である(よほどの材料が出てこないと利下げに賛同しない)可能性が高い。
- 四半期GDP前期比ベースでは、今年Q1とQ2が+0.2%、以降5四半期+0.3%を予想。足元はサービス業主導だが、まもなく個人消費と輸出がエンジンとなる。
- アウトプットギャップは2026年央までマイナス(年平均の数字はカレンダー調整後ベース)。
- 個人消費(青)は可処分所得(灰)の増加にキャッチアップする形でまもなく加速し(ドイツのGDPを押し上げ)始める見込み。
- 輸出は今後成長エンジンとなりうるが、コスト増による競争力低下で従来ほどの貢献は期待できない。
- 企業の設備投資は、エネルギー・賃金コスト高、熟練労働者不足、規制の枠組みに関する不確実性、税負担の高さ、などにより抑制されており、回復は来年以降か。
- 宅は受注(左)建設許可(右)とも低迷継続で年内の回復は見込み薄。但し、移民(下の図)で人口は増え続けているので、来年以降緩やかに回復へ。
- 政府からの武器・弾薬に対する公共需要増加は景気をサポート。財政赤字縮小による経済への影響は小さい(それらのマグニチュードについては言及なし)。
- 不況の割に労働市場はしっかり。今後の景気回復局面では、まず維持された正規雇用社員の労働時間が延び、その次に失業率が低下に向かうことになりそう。その後は雇用増えない。
- 賃金の伸びは前回予測時点(12月)の想定以上で今年は6%と大幅上昇、その後も3%前後の高い伸びが続く見込み。
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ドイツのHICPはコアの高止まりを背景に2%を切ることは当面なさそう。リスクは上ブレ方向。
- ドイツの競争力が予想以上に低下する恐れがあり、成長のリスクは下方向。
<本件日本語報道例>
<日独経済日記>