先ほどEU委員会から発表された「欧州経済予測(2024冬版)」のドイツ部分のエッセンスは以下の通りです。
- 今年の実質GDP予想+0.3%と、昨年1月の予測+1.2%から大幅下方修正。2025 年は+1.2%で据え置き。
- 今年のGDPの弱さは、ドイツ政府(+0.2%へ下方修正見込み)やOECDと同じレベル感(上表)。当局としての共通認識と言ってよい。
- 昨年▲0.3%とマイナス成長になった原因は、インフレによる購買力低下に伴う個人消費の軟調、労働力不足、エネルギー価格高騰、建設コストや借入コスト上昇による投資抑制など。
- センチメント指標は引き続き弱く、2024年上半期も景気低迷継続見込み。
- 労働力不足は引き続き活動のボトルネック。
- 今後2年は輸出と輸入がほぼ同じペースで増加する見通しで、純輸出による景気後押しは期待できない。
- 緊縮財政も景気低迷からの脱局を困難にしている。
- 数少ない明るい材料は、銀行借入れを含む資金調達環境の緩和と、実質賃金上昇による個人消費下支え。
- インフレ(HICP)予測は前回とほぼ同じながら、サービスインフレが根強く残るので景気低迷でも下げ渋る。
<ドイツGDP軌道 実績/見通し>
2024 Q1:前期比+0.1%、Q2:+0.2%、Q3:+0.3%、Q4:+0.3%
2025 Q1:前期比+0.3%、Q2:+0.4%、Q3:+0.4%、Q4:+0.4%
<市場織り込みと同じECB利下げ軌道を前提>
<前提条件一覧> ユーロ円は2年間160円台半ば
<GDP/HICP一覧>