日独経済日記

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20240522 ドイツ連銀月報ドイツ経済分析部分のエッセンス

https://publikationen.bundesbank.de/publikationen-de/berichte-studien/monatsberichte/monatsbericht-mai-2024-929802?article=konjunktur-in-deutschland-929814

https://publikationen.bundesbank.de/publikationen-de/berichte-studien/monatsberichte/monatsbericht-mai-2024-929802?article=ueberblick-929806

本日発表されたドイツ連銀月報の中の、ドイツ経済分析部分のエッセンス(経済省や他の機関等で指摘されていない目新しい部分のみピックアップしたもの)は以下の通り:

  • ドイツの経済見通しはわずかながらも徐々に明るくなってきており、第2四半期のGDPは前期比小さなプラスになる可能性がある。
  • ドイツ企業の投資にブレーキをかけているのは、①マクロ経済の不調、②高いエネルギーコスト、③高い賃金、④人手不足、⑤規制環境を巡る不透明感。
    2023 年の国内投資の減少または横ばいの要因
  • グローバル大企業を中心に海外投資を増やす意欲が高い。特にエネルギー集約型企業が国内から海外に投資先をシフトしている。

  • 相変わらず製造業でも建設業でも受注は全く冴えないが、高水準の受注残、エネルギー集約型産業(化学など)の生産反動増、好天(特に建設業をサポート)、病欠の減少などで生産は低い水準から反発(第1四半期GDPの前期比プラスに貢献)。
    工業および建設部門における生産
  • 当面雇用情勢が大きく変化する可能性は小さい。企業は人手不足/新規採用難を恐れて不況下でも極力レイオフせず労働力を維持してきたので、今後多少景気が好転しても新規採用が急増することもない。

    ドイツの労働市場

  • インフレは第1四半期に年替わりの値上げ多発などのため前期比+0.8%と大きめの上昇。5月分以降もベーシス効果のためしばらく高どまる見込み。
  • 協定賃金(下図薄青)が第1四半期前年比+6.2%と急増するなど、賃金の大幅上昇が続いている。今後の賃金交渉でも労組は年+7~15%の賃上げを要求しており、高水準の賃上げが継続する見込み(但し、ECB金融政策へのインプリを示唆するようなコメントなし)。 賃金と賃金ドリフト
  • ドイツの財政は改善が続く見込みだが、これが経済の足かせになる可能性は低い。
  • 「債務ブレーキ」の改革においては、例えば債務比率が低い(GDPの60%以下の)時により大きな財政赤字を許容するというような柔軟さを持たせるというのも一案。
  • 世界経済のムードはここ数カ月でかなり明るくなってきた。
  • 一方で、その分ディスインフレ圧力も低下し、中銀に対する利下げ期待も後退している。

 

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