本日発表されたドイツ連銀月報(今回からWEB上で見やすくなっている/ドイツ連銀がどの指標をどんなグラフで見ているかがわかる)の経済分析部分(Kurzberichte)のエッセンスを以下紹介する。
●鉱工業生産、建設生産、輸出が思ったより強かったため、実質国内総生産 (GDP
)は第 1 四半期にわずかに増加した可能性がある(これまでは「小幅マイナスの感触」としていた)。但し、期待外れの個人消費を含め、まだまだドイツ経済の足腰は弱い(安心できない)。前期比プラスが第2四半期も続くかどうかはわからない。 全体として、ドイツ経済には依然として持続的な改善は見られない。
マーケットでは、Q1GDP(4/30発表)に対するドイツ連銀の感触が、マイナスからプラスに転じたことが大きく採り上げられている。
●鉱工業生産は思ったより強めだったが、エネルギー集約型産業の低水準からの反発が中心で、裾野に広がりがない(上)。
製造業受注は(下)は大口特需(エアバス関連)を除くと軟調継続。
建設生産は暖冬のお陰で2月強かったが、受注は弱いままで苦境を脱したとは言えない。
【筆者注】IMFが指摘する通り、製造業の生み出す付加価値(GDP)は鉱工業生産の見かけより強いので、こんなに弱そうな見栄えの生産でもGDPはプラスになる模様。また、月商の約7か月分の受注残が足元の弱い新規受注に対するバッファにもなっている)
●不景気にもかかわらず、医療・介護、公共サービス、物流、サービス業、エネルギー/水道、教育分野を中心に就業者数(青線)の増加継続。今後の失業率上昇リスクは限定的。
【筆者注】失業率(黒棒)の上昇の多くが、ウクライナ難民(失業率5割程度)カウント開始(2022年6月)によるもの。
●CPIはここまで順調に低下。4月まではベーシス効果(前年同月の水準が高い)のため前年同月比が低下して見えやすい。イースターが前年に比べて早かったため、旅行サービスの大幅な値上げが今年4月に起こる可能性も低い。
しかし、5月以降はこれまでのベーシス効果の剥落、最近の原油/ガス価格の上昇、高い賃上げなどの押上げ要因により、インフレが上昇するリスクがある。
<日独経済日記>