https://www.bundesbank.de/de/aufgaben/themen/monatsbericht-deutsche-wirtschaft-beginnt-sich-zu-erholen-856142
ドイツ連銀の7月月報が発表されましたので、経済分析部分(Kurzberichte)のエッセンスを以下ご紹介します。
- ドイツの2023年第2四半期実質GDPはわずかながらも前期比プラスになる可能性が高い(市場予想:前期比+0.3%、7/31発表予定)。
- 但し、最近の景況感悪化を勘案すると、6月時点での予測より景気回復が後ズレする惧れがある。
<6月ドイツ連銀予測解説>
- 製造業および建設業は、供給ボトルネックの緩和と高水準の受注残がサポートとなったものの、前期比生産拡大には至らず(下添★部分ご参照)。
- 資金調達コスト増加により内需は低迷。加えて(中国経済の不振を始めとする)外需の減少により景気は弱含み継続。但し車の生産は顕著に回復。
- 個人消費は安定化。Gfk消費者信頼感では(強い賃上げ見通しを反映して)収入期待が大幅上昇。
- 実質小売売上も5月は増加。おそらく旅行支出も急拡大中。但し車購入は減少。
- 経済低迷にもかかわらず、労働市場は概ね安定しているが、最近は求人数減少、失業者増加でやや軟化。今後数カ月間は就業者増は期待薄で失業率も少し上昇すると予想。
- 6月HICPの前年比6.8%(5月6.3%)への顕著な上昇は、昨年年6月に一時的に導入されたガソリン減税と9ユーロ切符の反動によって引き起こされた特殊要因によるもの。
- 9月以降はこれらの特殊要因が剥落するため、インフレ率は再び低下するはず。
- 最近の川上の価格低下も今後徐々に消費者に転嫁される見込み。
- 但し、エネルギーと食品を除くコアインフレは、コロナ後ウェートが高まったパッケージ旅行の価格高騰のため、夏の間高止まりする可能性が高い(筆者注:国内CPIでは基準年が2020年のままなので、この影響が過小評価されてしまう)。
★ドイツではこちらのように経済統計を(前年比や前月比の変化率ではなく)インデックスベースで見ることが非常に重要です。
例:
Q1平均 4-5月平均 (Q1比 / 3月比)
製造業受注 101.5 98.45 (▲3.0% / +3.4%)
鉱工業生産 98.2 98.1 (▲0.1% / +0.6%)
Q1平均 Q2平均 Q2/Q1 6月/Q1
HICP 124.3 125.6 +1.0% +1.3%
ドイツ経済全般にご関心のある方は、随時こちらをご参照ください。