毎月この二つを読み合わせておけば、ドイツ経済の変調を見落とすことはないと思って続けているものです。
①ドイツ連銀月報のエッセンス
- 10月インフレはエネルギー価格の低下(+前年からのベーシス効果)で急低下したが、今後数か月はさほど下がらない見込み(筆者注:一番下のグラフご参照)。
- 雇用は引き続き堅調、かつ大幅な賃上げ(昇給+インフレボーナス)が進行中で、実質賃金もプラスに転じてきたが、消費者は依然として消費を手控えている。
- 外需が底打ちした可能性があり、(統計の下駄的に厳しい足元のQ4ではなく)年明け以降なら、緩やかな回復が見られるかもしれない。
●月報とは別件ながら、週次経済活動指数(WAI)は、四半期実質GDP前期比換算で+0.5%のペースと堅調を継続。
https://www.bundesbank.de/de/statistiken/konjunktur-und-preise/woechentlicher-aktivitaetsindex
②ドイツ経済省月報のエッセンス
- 船舶移動データ等は、世界貿易が年末までに安定することを示唆。
- 但し来年は、米国や中国といったドイツの重要な貿易相手国からの需要が、経済減速により弱まる可能性が高い。
- 一方、ドイツにとって最も重要な販売市場である欧州諸国では、状況が再びゆるやかに改善する可能性が高い。
- インフレについては、過去のコスト上昇やサプライチェーン障害による価格圧力がほぼ一巡している上、エネルギー価格も落ち着いているので、来年+2.6%、再来年+2.0%と緩やかな低下が続く見込み。
- 雇用は依然高水準ながら、景気低迷長期化でさすがに採用意欲は低下しており、冬場の悪化を警戒。
- 企業倒産件数が前年比急増しているように見えるが、各種政府支援などで前年まで低水準に抑え込んでいたためであり、長期的に見ても水準はかなり低い(過大評価すべきでない)。
<ご参考>昨年末のエネルギーコスト政府補填の反動で、HICPは12月には4%超に跳ね上がる可能性が高い。
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