https://www.bundesbank.de/de/publikationen/berichte/monatsberichte/monatsbericht-oktober-2023-912962
今月(2023年10月)のドイツ連銀(BUBA)月報のエッセンスは以下の通りです。
- 2023年第3四半期の実質GDPは前期比で若干マイナスとなる可能性が高い(筆者注:先月とほぼ同じ表現/評価、公式統計は10/30発表)。
今月)Das reale Bruttoinlandsprodukt (BIP) dürfte im dritten Quartal 2023 etwas geschrumpft sein.(10月になってQ3が終わったことによる文法的変化のみ)
先月)Die deutsche Wirtschaftsleistung dürfte im dritten Quartal 2023 etwas schrumpfen. - 外需が弱い上に、金利上昇により、建設や投資が抑制されている。
- 製造業の受注残は高水準ながら、需要全体の手応えが悪いので、生産活動も抑制され、落ち込んでいる。
- 引き続き堅調な労働市場、力強い賃金上昇、インフレ低下が経済を支えてくれるはずだが、一般家庭はまだ慎重で貯蓄性向が高く、消費を増やしていない。
- 9月のHICP(インフレ)は、総合で6.4⇒4.3%(▲2.1%)、コアで6.3⇒4.8%(▲1.5%)と大きく低下したが、その大半は前年の価格抑制政策などによる特殊要因/ベーシス効果(総合▲1.75%/コア▲1.25%)。
- 化学、ガラス、製紙など、エネルギーコストが高い部門がより大きな打撃を受けているのは確かだが。ドイツ企業の競争力はウクライナ戦争後のエネルギー価格の上昇の影響をほとんど受けていない(筆者注:ドイツ産業界の主張に反論)。
- 相対的エネルギー価格は2021年初めから2023年7月までに5.0%上昇し、ドイツの価格競争力は確かに0.2%低下した。
- しかし、これはユーロの対ドルレート(為替)が約1.4%切り下がったことで十分に相殺されている。
<主要計数総括表>~BUBAが何をどう見ているかというエッセンス
(ドイツの生活実感を確認する時以外は)インフレ指標には国内基準のCPIではなく、ユーロ圏共通のHICPを使う(理由:①CPIはコロナ直後のウェートで歪んでいる、②ECBはHICPで見ている)。
<ドイツ経済省月報のエッセンス>~毎月上記月報と併せてチェックするとよいです。
<日本語報道例>~英語でもこの程度しか報じられません。
●ちなみに(上記月報とは直接関係ありませんが)足元の景気モメンタムを見る上で有益なドイツ連銀週次経済活動指数(WAI、毎週月曜夕刻発表)は、水準がゼロ近傍とまだまだ低いものの、方向としては最近やや盛り返しています(右図)。
https://www.bundesbank.de/de/statistiken/konjunktur-und-preise/woechentlicher-aktivitaetsindex
●先ほど発表されたドイツPMI(景気先行指数)は、製造業の低迷継続(右)のため、GDPマイナス状態継続(左)となっています。
https://www.pmi.spglobal.com/Public/Home/PressRelease/bdd9a44d333a46a9bd5c66cd7fd32090
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