日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20210720 ドイツの水害の規模感と政治/経済面でのインプリについて

現時点で報じられているのは

  • 鉄道関連の被害見積もりだけで20億EUR
  • 即時支援金総額5億EUR(その後何年も別途支援要)

という規模感ですので、被害総額推計は非常に難しい(誰にも出来ていないの)ですが、フェルミ推計的に見積もると以下のような感じになります。

 

下図ランキングは対洪水被害保険金支払金額で、

最高額は2002年の46億5千万EURとなっています。

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ドイツ語WIKIで調べてみるとこの洪水でのドイツでの被害総額は90億EURだったと記録されています。

https://de.wikipedia.org/wiki/Hochwasser_in_Mitteleuropa_2002

 

今回はこれをはるかに上回ることが確実視されている(死者数は3倍以上な)ので

最終的な被害総額は、100億EUR単位(この整数倍)というレベル感と思います。

(あくまで私見のドタ勘で、「何もないよりはマシ」レベルの置きです)

 

①ドイツ経済への影響

やや不謹慎ですが、東日本大震災からの復興が巨大な需要を生んだように、

このくらいの規模になると、生産面でのダメージはほとんどない一方で、

復興需要が今後数年のドイツのGDPを相応に押し上げる効果がある思います。

 

 ②選挙戦への影響

・CDUは危機管理、災害対応に長年の実績があり、その観点では国民から最も信頼されている

・結果的に多くの人命が失われて強く批判されているものの政府・与党に明確な落ち度はなさそう

といったことを考えると、うまく対応すればCDU/CSUにやや有利に働くはずでしたが、

「ラシェットの不謹慎な笑い(下添)」「地球温暖化対策への危機感高まり」で

Greenにやや有利(最近の支持低下を数%取り戻す方向)に働くものと思われます。

但し、ラシェットの「笑い」はさすがに致命傷にはならず、Greenの再逆転はないと見ます。

 

★ラシェットの不謹慎な笑い

ラシェットが水害被災地をシュタインマイヤー大統領と帯同訪問した際に起こった事件。大統領がスピーチしている間に、その遠くの後ろで談笑・大笑いしているところがビデオに映りこんでしまい、Twitterを中心に「次期首相にふさわしくない」「CDU/CSUはもうたくさんだ」と炎上しています。今後の世論調査への悪影響を注視する必要があります。

 

 

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