日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20230322 ドイツ五賢人会経済予測のエッセンス

 

先ほどドイツ政府経済諮問委員会(通称5賢人委員会)よりドイツ経済予測の発表がありましたので、興味深いポイントを中心にご紹介します。

●最近の内外他機関と比較すると、来年のGDPに弱気なのが最も目立つ。

 ①インフレに伴う購買力低下、②資金調達状況の悪化、③外需の回復の鈍さ、
 を懸念している模様。

 今年のインフレ(6.6%)やや強めで、賃上げ(+5.9%)とPPIが強いと見ている。

第1四半期GDPは前期比+0.2%を予想(左)。
 当面(来年初あたりまで)アウトプットギャップマイナス(右)

 

●インフレ軌道~今年高めも、ほぼコンセンサス並み

 

 

賃金は今年+5.9%、来年+4.5%を見込む(協約ベースでは+4.6%/+4.9%)。
 今年もインフレに負けるので3年連続実質マイナス。


●ドイツ総括表~雇用は強く、財政赤字は小さめ、経常黒字維持

 

●主要なリスクは以下3つ

 ①ガス不足:輸入不足(東アジア需要爆増等)/必要な節約に失敗

 ②インフレ:金融不安でクレジットクランチ/インフレ再加速

 ③海外経済:地政学リスクの高まり/中国の需要がインフレ押し上げ

 

●今のところEU全体がガス不足に陥る可能性は低そうながら、来冬を安全に乗り切るためには、①通年で2割程度の節約あるいは、②夏だけ32%の節約が必要となっています。

 ガス備蓄水準軌道:節約なし(緑)、夏だけ32%節約(橙)、通年20%節約(黄)

 

 

●金融不安については、以下2点から少なくとも現時点ではリスク低いと判断。

 ①サブプライム危機とは異なり、ほとんど価値のない金融商品
  多くの銀行が大量に保有しているというような状況でない。

 ②インターバンク市場と実体経済への信用供給が混乱していない。