https://www.iwkoeln.de/studien/michael-groemling-stagnation-im-sechsten-jahr.html
昨日ドイツ経営者団体のシンクタンクIW(@ケルン)が発表したドイツ経済分析(上リンク)のエッセンスは以下の通り:
- 他国は今年しっかり成長しそうなのに、ドイツだけそれができそうもない。
- ドイツの対外貿易は2022年秋から減少しており、2019年の水準を下回っている。
- 世界の貿易量は今年+1%増加(昨年は▲1.7%縮小)し、輸出依存度の高いドイツ経済を助ける見込みだが、現時点でその恩恵はまだ感じられていない。
- ドイツの輸出の中核である資本財(特に機械・設備類)に対する世界的な需要が、地政学的な状況(ウクライナ、中東、極東)の変化により低迷している。
- ドイツの産業立地は、エネルギー価格(危機前よりまだ高い)と人件費(高賃上げと時短)のため国際競争上かなりのコスト高に苦しんでいる。
- インフレは大分落ち着いたものの、金融政策緩和にはまだまだ時間がかかる。
- 特に建設業界(GDPウェート6%)が金利の問題に苦しんでいる。今年の付加価値(業界としてのGDP)は2019年のレベルより約1割低下する見込み。
- 官僚主義、高い税金、政治による投資刺激の欠如によっても、ドイツの国際競争上の魅力が削がれている。
- 企業の投資は低迷を続けているが、今年も▲1.5%減少見込み。
- 個人消費は経済を下支えする見込み。インフレ率低下と堅調な労働市場/所得状況のおかげで、一般家庭の実質所得は増加中。いずれ消費にハネる。
- しかし、本当の景気回復のためには個人消費だけでなく、投資も上向く必要がある。
- そのためにも産業立地条件を改善するサプライサイド改善政策が重要。
【政策提言案】~減税、インフラ整備、規制緩和、政府サービスデジタル化、AI推進、環境/財政政策の明確化など
- 【主要計数一覧】~個人消費+1%、投資▲1.5%、インフレ2.25%
<日独経済日記>