日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20240518 週末のBloombergより

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FEDからは、中立化のための迅速な利下げではなく、インフレ沈静化に確信が持ててからの慎重な/遅れ気味の利下げ、というメッセージ発信が続いている。
◆一方、利上げ後の高すぎる無リスク金利が、富裕層の金利所得急増経由で景気をかえって刺激し、インフレ沈静化を遅らせている(利下げの方がインフレ鎮静化に役立つ)という議論も沸き起こっている。
◆インフレは過去の歪の余熱(家賃、保険料など)で確かに今なおstickyに推移しているが、米景気が予想以上に強い中でもシクリカル的にあらたな物価上昇圧力が高まっているという感じではない。
◆2/10年の逆イールドはそう簡単には解消しそうにない。相応の利下げ(短期金利低下)や財政リスクプレミアムの高まり(長期金利上昇)が具体的に視野に入ってくるのはまだ先の話ということではないか。
◆起債市場は引き続き活況で当面続き見込み。高利回りで滞留しているCASHを含めて、投資待機資金が大量にある上、経済悪化の兆しなくボラが低下し続けている。
◆投資家には高い仕上がり金利(年金や保険は運調マッチにりよう)、発行体には低いスプレッド(一部は将来の再調達分前倒しに利用)が魅力。

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◆4月米CPIは市場予想比特段良かったわけではないが、ここ数カ月続いた上振れに伴う恐怖を(少なくとも一時的に)払拭する(FEDが利上げに傾くリスクを減じる)という意味では相応に大きなものだった。
足元の高金利は、クレカや住宅ローンの利払いに追われる低所得者層には強いブレーキをかけるが、金利収入が増える富裕層にはかえって景気刺激的に作用している可能性がある。
◆この前例なき金利は、少なくとも資金不足の公的セクターから資金余剰の民間セクターへの巨額の所得移転として作用している。
◆モノのインフレ低下で浮いたお金が、サービス購入に回り、サービスのインフレを押し上げてしまっているという可能性もある。
◆意外に高止まりを続ける米長期金利の主因が財政プレミアムだとすれば、ハイクオリティのクレジット投資は多少スプレッドがタイトでも非常に魅力的。株式投資ほどのリスクをとらなくても6-7%のイールドが数年間確保できるというのは非常に恵まれた投資環境。
◆次の米大統領が誰になっても、米財政問題はいずれ大問題になる。(日本のように)利下げ/低金利である程度い財政負担を軽減する必要があるかも知れない。
◆無リスク金利がこれほどまでに上がってくると、運調マッチで収益を安全に確保できる機会が広がる。こういった投資では時々刻々と時価が更新され、流動性高く取引が可能である必要もない。投資家の裾野も広がる。
金利水準面やテクノロジーという意味で米国が魅力的だが、金利低下という意味では欧州、エクイティの魅力という意味では日本とインドが面白いかも知れない。
◆米国ではそもそも中国製EVはほとんど売れていない。100%関税賦課は多分に大統領選対策のアピール。
米国でのEV普及の最大のネックは価格ではなく少ない充電ステーションへの不安(価格は2位)。テスラがスーパーチャージャー(急速充電機)ネットワークの拡充に力を入れなくなった(チームを最近リストラした)ことはEV普及にとって大きなダメージ。
◆他の金融セグメントはコロナ後大復活を遂げているのに対し、M&Aは戻りが非常に鈍い。厳しい競争法規制とプライベートエクイティが消極化した(例:高金利で低下した評価額では売りたくない)ことがその背景。
◆ボードルームでM&Aの議論は活発になされているが、許認可やレビューに何年もかかるリスクは簡単には取れない。大統領選後に米政府が規制緩和に動くかどうかがM&Aディール量復活のカギを握る。
コングロマリットディスカウントを避けるため、企業は得意分野に特化し、必要な分散は企業経営者ではなく投資家が自分でやればよいという考え方が定着してきている。モノ言う株主の増加もこの流れを後押し。

 

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