本日発表されたドイツ連銀の最新経済見通し(半年毎)のエッセンスは以下の通り:
- 実質GDPは今年▲0.2%とマイナスの着地。来年もわずか+0.2%止まり。輸出と投資の見通しが暗く、個人消費も労働市場軟化で期待外れ。
- 四半期の走りとしては、今後2四半期前期比ゼロが続いた後、前期比+0.2%程度の低空飛行が続く。
- 2026年、2027年には長期低迷の反動でやや回復(それでも年+1%以下)。
- 前回6月の見通しに比べて、2024年▲0.5%/2025年▲0.9%/2026年▲0.6%もの大幅下方修正。
- その結果、アウトプットギャップは2027年になっても埋まらない(ディスインフレ圧力が続く)。
- 2024~2027年の潜在成長率は年+0.4%止まり(青い線の軌道が今回下方修正されている)。
- これだけGDPが減速しているので、来年以降はさすがに賃金上昇率も急減速(年+2.5%ペースへ)。
- インフレ(EU共通のHICPベース)軌道は前回比大きく下方修正され、2%の中銀目標に沿った展開に。
- 不透明要素として念頭に置くべきは、保護主義の高まり(トランプ関税など)、地政学的紛争(ウクライナ、中東、台湾)、構造変化(脱炭素、ブロック化、中国との輸出競争激化など)、新政権の経済政策。
- 上記見通しに対するリスクとしては、経済成長に対しては下方、インフレに対しては上方に傾いている。
- トランプ経済政策(対中60%/他10%の関税+対抗措置、減税、移民退去など)の影響試算:ドイツのGDPは3年累計で▲1.3~▲1.4%押し下げられる。
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ドイツのインフレ押上げ幅は、モデルによって大きく異なる(+0.1~+1.5%)が、いずれにせよかなりのインフレ圧力となる。