ドイツのCPIの基準年がこれまでの2015年から2020年に変更されており、本日その詳細が発表になりました。2020年はコロナの影響が最も大きく、かつインフレの襲来前だったので、2023年現在の実際のウェートとかなり異なります(厳密には2019年から2021年の平均が使われていますが、それでもコロナの影響が大きく、インフレ前の数字であることには変わりありません)。
一方、ユーロ圏/ECBで使用するHICP(EU基準に統一したCPI)のウェートは毎年見直されていますので、足元の実態により近いと思われます。
実際以下の主要項目別ウェート推移を見ると、インフレでかさばった食費や、コロナ鎮静化で増えたお出かけ関連のウェートが上昇しています。
ECBはもともとそうしているのであまり大きな問題にはなりませんが、今年以降はドイツ固有のCPIよりHICPをより重視した方が良いと思います。
項目 2023年基準 2020年基準
HICP CPI
01 食品・飲料 13.2% 11.9% ★インフレで増えている
02 酒・たばこ 3.5% 3.5%
03 服・靴 4.8% 4.2%
04 住居 16.5% 25.9% 他の★のせいでずれる
05 家具・家庭用品 7.1% 6.8%
07 交通 16.6% 13.8% ★コロナ後は戻っている
09 余暇・娯楽 12.1% 10.4%
096 パッケージ旅行 3.5% 1.3% ★コロナ後は戻っている
11 ホテル・レストラン 7.2% 4.7% ★コロナ後は戻っている
基準年の違いによって、大きな流れまで変わってしまうことはありませんが、金融政策をインフレの0.1-0.2%の違いが左右するような局面では無視できない違いが出ています。2020年基準だと最近HICPよりかなり低く見えてしまっているので、注意が必要です。
なお、こちらのインフレ万華鏡は、新ウェートでどれくらいのものがいくら上がっているかを素早くつかむのに大変便利です(ドイツ語ですが)。
Preis-Kaleidoskop des Statistischen Bundesamtes
<関連ご参考> ユーロ圏内の個人消費シェアもこんな感じということになります。