日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20230904 世界インフレトラッカー(FT特設サイト)のエッセンス

世界でインフレが問題になり始めてからずっと、英フィナンシャルタイムズ(FT)紙が世界のインフレをモニタリングするための特設サイト「Global inflation tracker」で(一般人向けに)有益な情報を提供し続けてくれています。

www.ft.com

 

ちょうど30分前に更新されたので、現時点でのエッセンス(主にドイツの視点から)を私なりに抽出してご紹介します。

 

●CPIの国際比較:

 ドイツは高水準かつ下げ渋り

 中国はデフレ気味(今局面でのデフレ輸出は西側諸国には好都合)

 

●今年の通年CPI着地見込み:

 (川上物価は結構下がっているにもかかわらず)ドイツは6%でずっと動かず

 日本はじりじり切り上がり、中国は急速に切り下がっている

 

●5年物インフレスワップ(市場のインフレ期待):

 欧米とも(中銀目標の2%までなかなか落ちてこずに)2%超で横ばい継続

 イタリアだけはずっと低い

 

●国際エネルギー価格:

 (原油が最近上がってきているものの)概ね低水準で落ち着いた動き

 

●欧州家庭用電気料金:

 ピークから低下も、ドイツ、英国、イタリアで高く、スペイン、フランスで安い

 

●欧州家庭用ガス料金:

 ピークから低下も、いずれも戦争前より高止まり

 イタリアがやや高め

 

●ドイツのCPI構成要素:

 概ね6%あたりに収斂してきたが、食品が引き続き10%超で押し上げ要因

 

●国際食品価格:

 典型的朝食の材料となる食品価格(赤線)は再びじり高傾向

 オレンジジュースの上昇が止まらない

 

●住宅価格(水準):

 金利上昇の効果でドイツを含む多くの国で頭打ち

 私見:但しドイツ住宅価格の過大評価は大きくない(せいぜい2割前後)上、
    住宅不足(需給ひっ迫)が深刻なので、暴落の可能性は低い

 

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