ドイツ経営者系シンクタンク、ドイツ経済研究所(IW、ケルン研)のアンケート調査結果によると、ドイツ企業の足元のセンチメントは、エネルギー危機まっただ中だった去年末とほぼ同様の悪さで、低迷した今年より来年さらに悪化を見込んでいるという意味では過去最悪に悪いと言ってよい状況です(上図)。
ちょうど1年前の経済専門紙ハンデルスブラットの見出しが「企業のムードは最悪の状態」のデジャブを見ている気分です。IW報告書のエッセンスは以下の通りです。
- 調査対象となった47経済団体のうち、現在の状況が1年前よりも悪化していると評価したのが30、同じが11、改善が6。
- 来年の生産が増える9、同じ15、減る23(下図は下から順にそのシェア、冒頭図はそのDI)。
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同様に来年の投資は8/16/22(中央)、雇用(右)は5/19/23のバランス。
- 悲観の主な理由は、世界経済の低迷、地政学的な不確実性、金利の上昇。
- エネルギー集約型のセクター(鋳造工場、セラミック産業、皮革産業、プラスチック加工会社など)のセンチメントが特に悪い。
- プラスチック業界にとっては、財政穴埋めのために急遽導入されるプラスチック税が泣きっ面に蜂。
- 金利上昇やそれに伴う景気悪化で不動産、建設、銀行も悲観的。
- IW担当者コメント:見通しが不透明過ぎて計画が立てられず苦しんでいる。政府は債務ブレーキ制度を改革しないと、産業空洞化が進展する。
- 2022年第1四半期を100としたセクター別付加価値:下からエネルギー/鉱業、建設業、製造業、サービス業、農業
なお、本件について、ハンデルスブラット紙は
- DAXが連日高値を更新しているのは、ドイツ企業の海外での収益が評価されているため。
- 今後ドイツ経済に対しては、以下5つが追い風から向い風に変わる:
ディスインフレ時代の超低金利、ロシアからの安価なエネルギー、好調な世界経済からの貿易黒字経由の恩恵、平和の配当、人口動態。
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